女子の18年グランプリ(GP)ファイナル女王で、昨季は右足首疲労骨折のため全休した紀平梨花(20=トヨタ自動車)が2季ぶりに全日本選手権(12月21~25日、大阪・東和薬品RACTABドーム)の出場権を獲得した。

フリー97・80点の合計154・49点で5人を残して暫定1位。全日本の1次予選となる中部の演技を終えた時点で、シード権を持つ北京オリンピック(五輪)代表の河辺愛菜(17=愛知・中京大中京高)を除く上位13人に入ることが確定、最終予選となる西日本選手権(10月27~30日、京都アクアリーナ)へ進んだ。

その西日本はグランプリ(GP)シリーズに派遣されるため日本スケート連盟から免除されており、全日本に進む権利をつかんだ。最終的に、復帰戦の順位は6位となった。

演技内容はダブルアクセル(2回転半ジャンプ)が2回ともシングルになり、うち1回は転倒。けが予防で3回転もサルコー1種類だけと構成を大きく落としていただけに、得点を待つキス・アンド・クライでは「通ってくれ~! お願い」と祈り、スコアのアナウンスを聞いて予選通過を確認すると「おぉ~! 良かった! セーフ」とジェスチャーをして安堵(あんど)の表情を見せていた。

「アクセルが両方シングルになってしまって、2回転トーループを付けたら『0点になっちゃう』とか焦って。『ホントやばい。通るかな』って思いがすごくあって。『とにかく通ってくれ~』と。そこはうれしかったです」

「今も痛みはあって、いつ痛みが出るのか不安があって、常に願いっぱなしだったんですけど、全日本の切符をつかむことできて、久々の試合でも集中とか緊張とか、いい経験ができて良かった。あとは、何をしても痛みが出ない状態にしていければ」

「春の最後のアイスショーで痛めてしまい、そこから3カ月くらい練習できなかった。『これは本当に治し切らないと無理』となってしまって。7月末の3日間の取材以外は、今回の3週間前に再開するまで全く氷上練習はしていませんでした。なので、試合に出られる状態になってホッとしています」

前日24日のショートプログラム(SP)は56・69点で6位。昨年4月17日の世界国別対抗戦(大阪)女子フリー以来525日ぶりの実戦で、シニア転向後は自身初の地方大会から再出発していた。

昨季は右距骨(足首)の疲労骨折で全ての競技会を欠場。3連覇が懸かっていた全日本選手権や、夢の北京五輪出場を逃していた。

GPシリーズは第2戦スケートカナダ(10月28~30日、ミシサガ)と第6戦フィンランド大会(11月25~27日、エスポー)に出場を予定している。

「スケカナで、いい状態の姿を見せられれば。構成は、まだ考えられない。治すことを意識したい」

今後はスケートカナダの前に出国する予定で、同国トロントの拠点クリケットクラブへ。ブライアン・オーサー、トレーシー・ウィルソンの両コーチに師事した後、約1年半ぶりの国際大会へ向かう。【木下淳】