「ナンバーワンだ!」。

アランマーレ山形が、群馬銀行にフルセットの末、3-2で逆転勝ち。第1セット(S)を先取され、第2Sを取り返したものの、第3Sを奪われる苦しい展開の中、粘り強く戦いV2優勝。最終S、木村友里主将(27)が、優勝を決めるVポイントをたたき込み、V2の頂点をつかんだ。優勝した山形は、4月8、9日に新潟・アオーレ長岡で行われるチャレンジマッチで、V1昇格を懸けて女子1部12位ヴィクトリーナ姫路と対戦する。

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最後はキャプテンにボールが集まった。13-12の最終盤、チームでつないだボールを木村が2連続で打ち抜いてチャンピオンシップポイントを獲得。「最後の最後、『みんなでつないだボールを絶対に決めよう』と、とにかく思いっきり打ちました」。優勝が決まった瞬間、両手を高く突き上げ、駆け寄ってくるチームメートを受け止めた。「勝った、終わった…」。優勝のうれしさと安堵(あんど)から思わず突き上げた両手は、全員が駆け寄り、ひとしきり喜びを分かち合った後にようやく下ろされた。

試合のターニングポイントは第4Sだ。第3Sを17-25で落とし、1-2と後がなくなった山形だったが、第4Sに入る前「みんなで行くよ、ここからだよ」という声が飛び交った。北原勉監督(42)は「第4Sに入るとき、私はヒントのようなことしか伝えていない。細かい作戦はみんなが決めてくれた。これはいけるなと思いました」。今季のテーマとして取り組んで来た、選手間でコミュニケーションを取って作戦を決める「自立と共有」の集大成を発揮。木村は「『自立と共有』は選手1人1人が苦しい思いをして作り上げてきたこと。それが確立できて、コートの中でやれていることが今季勝てている要因です」と胸を張った。

目標に掲げる「V2優勝&V1昇格」の完全達成まであと半分。2週間後にはすべてが決まる。レギュラーラウンドでは首位に立つことが多く、追われる立場だったが、チャレンジマッチではまさしく“チャレンジャー”。木村は「思いっきり、しっかり楽しんで戦っていきたい」と力を込めた。悲願のV1昇格へ、アランマーレ山形が一丸となって挑む。【濱本神威】

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