初のメダル獲得を目指した張本智和(19=智和企画)が8強で敗れた。中国のトップ選手、梁靖崑と対戦し、2-4で競り負けた。44年ぶりの男子シングルスのメダル獲得まであと1勝のところだった。

梁靖崑に2ゲームを連取され、第3ゲームもゲームポイントを捕まれた崖っぷちから驚異の粘りを発揮。14-12で競り勝つと、続く第4ゲームも16-14とつかみゲームカウント2-2。振り出しに戻した。

第5ゲームも互角の攻防。9-11と落とす。そして第6ゲーム9-9と終盤まで一歩も譲らぬ展開だったが、最後は梁靖崑の強打に押し込まれ、力尽きた。

試合後は悔し涙が止まらなかった。

6月27日で20歳となる。どんな20代にしたいか問われると「10代の時以上に苦しい20代になると思います。勝てない時期が続くかもしれませんが、自分を信じて頑張りたいと思います」と言うと、ほおを涙がつたった。

今大会も対象の24年パリ五輪(オリンピック)シングルス代表選考ポイントでは首位を独走。国内外の競技会で安定した結果を残す中、こだわっていたのはシングルスのメダルだった。

「4回目(の個人戦)で、まだメダルを取れていない。シングルスはメダルを第一目標にやっていきたいと思います」

開催地の南アフリカには好印象があった。16年にケープタウンで行われた世界ジュニア選手権で金メダルを獲得。世界選手権のアフリカ開催は84年ぶりだが「僕の思い出の地。世界ジュニアの時のような思い切ったプレーで、中国選手に勝つイメージがある」と自信を持って臨んだ。

強敵に敢然と立ち向かい、誰もが驚くような粘り強さを見せつけた。負けてなお張本強しの印象を世界に与えた。

1年後にはパリ五輪が待っている。メダルに届かなかった悔しさをぶつける舞台へ、精進を続けていく。

◆今大会のパリ五輪選考ポイント

優勝=200点

2位=160点

4強=120点

8強=80点

16強=40点

32強=20点

◆パリ五輪代表選考レース(世界選手権前時点)

〈1〉張本智和(323・5点)

〈2〉戸上隼輔(250点)

〈3〉吉山僚一(172点)

〈4〉篠塚大登(169点)

〈5〉田中佑汰(160点)

〈6〉曽根翔(145点)

〈7〉及川瑞基(124・5点)

〈8〉吉村真晴(118点)