6年ぶり出場の池江璃花子(23=横浜ゴム)が女子50メートルバタフライ決勝で25秒78の7位に入った。

「メダルを狙っていないといっていたが、1%でも可能性あったら狙いたかった。でもタイムも良くなかった。いつまで苦しむんだろうと思うんですけど、この舞台で泳げたのは良かったし楽しかった」

今大会最後の個人種目。50メートルで決着がつくレースに、今の全ての力を注いだ。

午前の50メートル自由形予選は全体20位で準決勝進出を逃し、レース後は涙を流した。できる限りの準備で心身を整え、約9時間後、個人種目では6年ぶりに戻ってきた決勝の舞台に立った。

「本当にこの日のために頑張ってきた。決勝に残らなかったら、ずっと言ってきた、世界に戻ってきたことを証明できないと思っていました」

前夜の準決勝後、素直な思いを口にした。

19年2月に判明した白血病。過酷な闘病生活を経て、個人種目で決勝に戻ってきた。今春には欧州遠征を実施。西崎勇コーチは「病気をする前に戦っていたライバルと表彰台に上れたとか、本人の中でうれしい気持ちもある。いい意味で悔しい、勝ちたい、2つの気持ちが芽生えたと思う」と教え子の変化を口にする。

今春に社会人となり、7月4日には23歳の誕生日を迎えた。誕生日当日は国内合宿で仲間から生まれて初めての顔面パイで祝われ、池江は思いをかみしめた。

「20歳になるまではすごく(誕生日が)楽しみだったけれど、20歳を過ぎてからは、そんなに楽しみな感じはなくて…。変に思われるかもしれないんですけれど、気持ち的にはもう30(歳)手前な気が勝手にしています。『え、まだ23なの!?』という気持ちです。『ちゃんと23歳になれた』というのもあります。生きて、元気に23歳になれるっていうことは、すごく奇跡でもあるのかな。そういうのを23歳になった時は、初めて感じました」

今大会でも悔しさ、そして喜びがあった。24年パリ五輪へ、かけがえのない経験を福岡で得た。【松本航】