女子53キロ級の藤波朱理(19=日体大)が、世界女王に返り咲いた。20日の準決勝に勝利してパリ五輪代表を内定させた翌日、決勝も圧勝。無失点でテクニカルスペリオリティー(旧テクニカルフォール)勝ちした。中学時代からの連勝記録も127に伸ばした。女子は五輪実施の6階級中5階級で代表が決定。68キロ級は石井亜海(育英大)が5位で出場枠は確保。今後は国内選考となる。

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勝利の瞬間、藤波は晴れやかな笑顔になった。大会直前に左足甲を痛め、無念の欠場となった昨年の世界選手権から1年。女王に返り咲き「一回り成長できたんじゃないかと思う」と喜びに浸った。

決勝は開始早々にタックルを仕掛けて得点。身長164センチから長い手足を生かし、10-0で圧勝した。日体大では五輪4連覇の伊調馨の指導を受ける。緻密な組み手からの攻守に隙のない闘いぶりが際立った。

試合から離れた1年前は円形脱毛症になるほど苦しんだ。立ち上がるきっかけは、大好きなレスリングだった。指の1つ1つの動きなど基礎から見直した。今大会は4年ぶりに国際大会での失点も喫し「プレッシャーを感じて足が動きにくかった。初めての経験。まだまだ弱い」と自覚した。

11月に20歳になるヒロインは父の俊一コーチとともに日の丸を掲げてマットを回った。「五輪でウイニングランをしたらどんなに最高な気分だろう。もっと強くなる」と再現を誓う。

女子は須崎以外の4選手が初の五輪切符を射止めた。東京五輪を制した53キロ級の志土地、57キロ級の金城、62キロ級の川井の2連覇は消え、新世代が台頭した。その中心に藤波がいる。連勝街道をまっすぐに、パリへと歩む。

◆藤波朱理(ふじなみ・あかり)2003年(平15)11月11日、三重県四日市市生まれ。88年ソウル五輪代表候補だった父俊一コーチの影響で4歳から競技を始める。中学2年の全国大会(17年6月)決勝で伊藤海に負けて以来、全勝。いなべ総合学園高から昨春、日体大へ。総合格闘家の兄勇飛も元選手で17年の世界選手権男子フリースタイル70キロ級3位。164センチ。