女子57キロ級の世界女王、長野県出身でカナダ代表の出口クリスタ(28)が初優勝した。

順当に決勝へ勝ち進み、わずか54秒、大外刈りでブラジル選手を一蹴。4試合オール一本勝ちで「過去3位が最高だった」という苦い思い出があった母国大会を制して「率直にうれしい」と笑顔を見せた。

そして続ける。

「前回はうまくいかなかったので、今度こそ」

松商学園高から山梨学院大。3年時に、父が出身のカナダ代表となることを決断。東京オリンピック(五輪)を目指した。19年の世界選手権(東京)で優勝したが、新型コロナ禍による中止を挟んで迎えた21年の世界選手権(ブダペスト)で5位。優勝したジェシカ・クリムカイト(26)に逆転を許し、東京五輪の出場権を逃す悲劇に泣いた。

代表落選後、大学の恩師を通じてスポーツドクター辻秀一氏を紹介されたという。「スラムダンク勝利学」等の著書で知られ、フェンシング女子サーブルで世界選手権2連覇の江村美咲も師事する第一人者と、メンタルトレーニングに励んだ。

「気負いすぎていたんです。『勝とう!』ではなく自然体でいることが大事だって教えられました。イラッとすることもなくなったし、あ、たまに…まだまだ半人前です」と笑いながら「さらに丸く…そんなトゲトゲしているわけではないけど、より普段の自分で。どんな時も平常心で生活すること」を心掛ける。

結果、今年5月の世界選手権(ドーハ)で4年ぶりに頂点へ返り咲き。来夏、夢舞台に立ってみせる。

カナダの代表選考には、日本のような早期内定制度はないという。年1回の世界選手権と世界ランキングが重視され、ともに上位者へポイント(P)が入る。

22年の世界選手権はクリムカイトが3位で、出口が3回戦敗退=クリムカイトに1P。23年の同大会は出口が1位で、クリムカイトが3位=出口に2P。「今は私が1Pリードしてるんですけど、まだまだ分からない」。来年5月に行われる予定の世界選手権、そして世界ランキングの上位者が各2Pを獲得できる仕組みで、予断を許さない。

その中でGS東京を初めて制しランキングポイントを積み上げたが、満足はない。

「世界選手権の結果が大事なので。でも、いい締めくくりになりました。この調子で来年もいいスタートを切って、今度こそ絶対」

五輪切符を勝ち取る覚悟を示した上で「金メダルを取りたいです!」と、柔道大国で輝く来夏への気持ちを高めた。【木下淳】