2連覇がかかる男子の宇野昌磨(25=トヨタ自動車)は演技時点では今季世界最高となる106・02点を記録し、2位発進した。

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演技直後の宇野は苦笑せざるを得なかった。「レベル高すぎて無理。やってられない」。2番滑走を終えた時点では今季世界最高得点だったが「塗り替えられる気もします」とサラリ。予言通りに5番滑走のマリニンが更新した。100点超えは3人。ハイレベルな争いとなったが「すごく居心地が良い」と歓迎した。

得点を競う競技ではあるが、宇野は自分自身の中に確固たる喜びの軸がある。取材が終盤に差し掛かった頃。額に汗を浮かべ、自ら競技への思いを切り出した。

「相手の嫌がることをするスポーツとは違う。(相手は)どちらかというと仲間だと思う。点数をハイレベルで競い合うってすごく楽しいこと。『今回は負けちゃった。次は勝ちたい』と直接言えるぐらいの意識で取り組みたい」

この日も勝負そのものより、自身の尺度に従った。喜ばせたかったのは、ステファン・ランビエル・コーチ。11月下旬のNHK杯フリーで4回転ジャンプ4本で4分の1回転不足となり、努力が結果に結びつかなかったことに対し、コーチはひどく落ち込んでいた。「ベストで演技をしたけれど、それが無かったようになってしまったので悲しんでいた」。今大会は師を思って滑った。冒頭の4回転フリップは練習でてこずっていたが、本番では「力でねじ伏せる」と決め切り、出来栄え点で2・20点を導いた。

2分50秒を滑り終え「どう思ってくれるかな」とリンクサイドを見ると、そこにはガッツポーズの同コーチがいた。宇野も思わず右拳を握り締めた。「僕もうれしかった。今後も同じ演技で応えられるように」と心が満たされた。

一方で今季日本勢最高点をマークしたことに満足感はなかった。「NHK杯のほうが良かった。気合で跳んだのは不服ではあります」。その正直な振り返りもまた、喜びの軸が自分にあるからこそ。