<飛び込み日本選手権:玉井陸斗こんな人>◇1日◇最終日◇滋賀・インフロニア草津アクアティクスセンター◇男子高飛び込み決勝ほか

パリオリンピック(五輪)で日本飛び込み界初メダルとなる銀メダルを獲得した玉井陸斗(17=JSS宝塚)が、524・50点で自身5度目の日本一に輝いた。

  ◇  ◇  ◇   

パリ五輪決勝の入場時、私は目を疑った。緊張した面持ちで順番に選手が登場する中、玉井は指ハートを作ってカメラにアピール。カメラマンが離れると、先を歩く他国選手に声をかけて手をつなぎ、肩の高さまで腕を大きく振って弾むように歩いていた。17歳とは思えないような心の余裕、堂々とした立ち振る舞い。身長160センチ、体重55キロと小さいはずの背中が大きく感じた。

自身初となる海外での五輪。表彰台を目指して乗り込んでいたが、緊迫感漂う試合中も積極的に他国選手と会話する。表彰式を終えて退場する際には、ミスで39・10点にとどまった5本目に自ら触れて「あとちょっとで完璧だった」とライバルと笑い合い、最後は舌を出して記念写真に納まった。誰よりも五輪を謳歌(おうか)しているように見えた。

約2秒間の演技で競う競技。少しのミスが命取りになる繊細な種目だが、玉井は「一番大事にしていることは楽しむこと」と言う。「楽しむことで演技のキレも増すし、テンションを上げることもできる」。大舞台でもその信念を貫き、「優勝は大前提」という、また異なる重圧のかかる日本選手権も笑顔で締めくくった。注目度が高まったことで重圧も感じるだろうが、これからも全力で競技を楽しんでいってほしい。【竹本穂乃加】