「トビウオジャパン」に、でっかいニンジンがぶら下がった。日本水連は9日、都内でロンドン五輪競泳代表の発表会見を開いた。8日までの日本選手権2位以内で派遣標準記録を突破した27人(男13、女14)が決定。さらにメダル獲得者はオフィシャルパートナーの「GMOクリック証券」から報奨金が贈られることも発表された。金メダル1個で、なんと3000万円!

 銀は300万円、銅100万円で、リレー種目は出場人数で均等割する。

 09年からスポンサーのGMOクリック証券は、昨年の上海世界選手権でもメダリストに「強化費」を贈った。当時は金で300万円。今回は10倍に跳ね上がった。同社広報は「活動資金で苦労されている方が多かった。バックアップしたい」と説明。日本はメダル8個を目標にする。仮に金メダル8個ならば2億4000万円になるが、同社は「うれしい悲鳴を上げたいですね」。

 目をぎらつかせたのは、主将に任命された松田丈志(27=コスモス薬品)だった。「必死で狙います」と宣言。宮崎・延岡の東海(とうみ)SCでは、保護者の寄付でできた「ビニール屋根プール」で練習した。08年北京五輪後は引退も視野に入れながらスポンサー探しに奔走した。「将来はスイミングスクールをやりたい。地方で頑張る子どものためにも。金を取れば現実味が出るし、東海に何かを返せれば」と熱く語る。

 日本水連の佐野和夫会長は「選手のモチベーションも上がる。ロンドンではぜひセンターポールに日の丸を」と感謝する。メダルを獲得すれば、日本オリンピック委員会(金300万円、銀200万円、銅100万円)や日本水連(金額未定)からも報奨金が出る。複数種目に出場する松田なら、1億円近い臨時収入も可能。「マツダプール」の夢とともに、日本のキャプテンが金を狙う。【近間康隆】