指導していた大学の女子柔道部員を合宿先のホテルで乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われたアテネ、北京両五輪の金メダリスト内柴正人被告(34)の第6回公判が29日、東京地裁(鬼沢友直裁判長)で開かれた。検察側の被告人質問で、同被告は事件が発生した昨年9月の合宿(東京・八王子市)中に、これまで2人の女子部員と性行為をしたと証言したが、別の部員とも肉体関係を持ったことを明らかにした。さらに、隠し子がいることも発覚し、“セックス歴”を赤裸々に告白した。

 前日28日に行われた弁護側の被告人質問とは別人のような内柴被告は、終始いら立った様子を見せた。白シャツにカーディガン姿で出廷し、被告人質問では男性検察官をにらんだり、質問に対して「何言ってるの?」と挑発する場面もあった。

 検察側などが、事件が発生した昨年9月17~20日の八王子合宿について詳しく追及すると、合宿初日の17日夜に、これまで証言された2人の女子部員とは別の部員Qさんと性行為をしたことを明らかにした。「ずっと前から(肉体)関係があった。セックスは愛情をもって、同意の上でやった」と説明。3泊4日の合宿中に計3人の女性と性行為をした。ただ、同被告とQさんの関係は柔道部内では問題になっていたという。さらに、性生活について問われると、同被告に隠し子がいることも発覚した。「以前、ある女性から『子どもが出来た』と連絡があり、今でも定期的にお金を送っている」と供述。事件翌日には、同事件の被害者、部員Aさんに、ホテル近くの飲食店でこれまでの複数の「妊娠トラブル」を告白したという。

 昨年9月23日には、同被告の大学の後輩で、九州看護福祉大の女子柔道部関係者にメールで「俺、ED(勃起不全)の診断書でももらってこようかな。本人がインポであれば(事件が)成り立たないよね。ダメかな?」と書いた隠蔽(いんぺい)行為を提案するメールを送信していた。

 弁護側の被告人質問でも追及された、事件当日のカラオケ店では、あらためてAさんから同被告の陰茎を口にしてきたと主張。検察側から「フェラチオで勃起はしましたか?」との質問には「全体をなめ回してくれたが、フル勃起かは分からない」「そんな暴れん坊じゃない」と振り返った。その時、同被告もAさんの胸や女性器を直に触れ、Aさんはあえぎ声を出していたという。この日も同被告は「僕は、やってない事件で1年間閉じ込められた」と語気を強めながら無罪を主張した。第7回公判(論告求刑)は12月26日に開かれる。【峯岸佑樹】