さあVパレードだ!

 全国高校ラグビー決勝は今日7日、大阪・花園ラグビー場で行われる。初優勝を目指す御所実(奈良)の地元御所市では決勝のパブリックビューイング(PV)を開催。さらに、東川裕(ゆたか)市長(53)がVパレード計画を指示したことも分かった。“ラグビーの町”作りに取り組む県内人口最少市(14年12月1日時点)が、「3冠」に挑む東福岡を下しての凱旋(がいせん)を待ち望んでいる。

 御所実の初優勝を祈る地元熱は高まる一方だ。中でも、関学大アメフット部でトレーナーや学生コーチを務めた“スポーツマン市長”こと、東川市長はチーム以上に気合が入っている。県大会決勝から毎試合現地で応援。準決勝後、担当部署に優勝パレードの計画を立てるよう特命を発した。

 実現すれば団体競技では同市初の快挙だ。個人を含めても、14年ソチ五輪スノーボード男子ハーフパイプ銅メダリストの平岡卓に続き2例目となる。決勝も駆けつける東川市長は「以前は市の名前を『ごしょ』と読み違える方も多かったんです。御所実の存在は大きい」と期待を寄せ、同市教育委員会生涯学習課市民体育係の担当者も「御所が全国区になってきた。広告塔のような存在」と続けた。

 同市と御所実の関連は深い。同校を中心に毎年夏に「ラグビーフェスティバル」を開催し、全国から20チーム以上が訪れる。地元農協も食料提供などで協力する。会場の市民運動公園グラウンドは天然芝から人工芝へ張り替えられ、今年6月にリニューアルオープン。同市ラグビー協会も活動を本格化し、小中学生対象のラグビースクールを計画するなど、“ラグビーの町”を目指している。

 市役所近くのアザレアホールでは08、12年度決勝に続き、PVを開催。東川市長は「地元の子供たちが頑張っている。市民みんなで応援しています」とエールを送った。同市出身のSH吉川主将は「応援してくれる方を勇気づけられるよう、期待に応えたい」と宣言。地元の期待を力に変え、悲願の初優勝に突進する。【鈴木絢子】

 ◆奈良県御所(ごせ)市

 1958年(昭33)3月末に4町村が合併し誕生。奈良県の北西部に位置する面積60・58平方キロの田園都市。奈良市へは約25キロ、大阪都心へは約30キロ。同市ホームページによると、名前の由来は市内を流れる葛城(かつらぎ)川に5つの瀬があったためなど諸説ある。人口2万7813人(14年12月1日時点)は市として県内最少。