元日本代表CTBで京産大の元木由記雄ヘッドコーチ(HC、47)が、劇的勝利を喜んだ。前半13分に敵陣右から逆サイドへの超ロングキックを、WTBニコラス・ホフア(2年、札幌山の手)がそのままつかんでトライ。泥臭さが持ち味の京産大らしからぬ華麗なプレーもあり、宿敵同大に一時は14点のリードを奪った。

それでも、ミスの目立った後半に逆転を許し、苦しい展開に。5点を追う後半39分にゴール前10メートルのラインアウトから伝統のFWが押し込み、最後はフランカー武田知大(4年、尾道)が26-26とする同点トライ。FB栢本(かやもと)光(3年、天理)のゴールで逆転した。その後、3分に及ぶ後半ロスタイムに同大の猛攻をしのいで開幕星をつかんだ。

勝利の瞬間、元木HCは大西健監督と抱き合った。5月の京都ラグビー祭では同大に12-42で完敗しており、同HCは「春の時点ではどうなるかと思っていた。(大西)先生も焦っていたと思う。だが、僕が(京産大に)来てから1番、スクラムを組んだ。相当やってきた。やはり、それが、うちの生命線ですから。普段から、試合よりキツイ練習をやっているから、勝負どころで強いメンタル面が出たのだと思います」と明かした。

昨季は、大学選手権で準優勝した明大と大接戦を繰り広げながらベスト8で惜敗。関西リーグ優勝も98年度以来、遠ざかっていることから、同HCは「新たな歴史を、作り上げないといけない」を気を引き締めた。

ロック上田克希主将(4年、東海大仰星)は「粘り強く、ひたむきにやることが、僕らの持ち味。そこだけは譲れませんでした。誰1人、諦めている選手はいませんでした」と語った。

大西監督も目を潤ませながら「最後の同志社の猛攻をしのいだ3分間は、我々の財産になる。最高の、素晴らしい試合をしてくれた」と、たたき上げの精神で強くなった部員を褒めた。