悲願の初優勝を目指す天理大(関西1位)が、前人未到の10連覇を狙った帝京大(関東対抗戦1位)を29-7で退け、7大会ぶり2度目の決勝進出を決めた。CTB立川理道(クボタ、15年ワールドカップ(W杯)日本代表)を擁した11年度決勝では、同じ帝京大にFW戦で劣勢となり12-15で惜敗。この日はスクラムでペナルティートライを奪うなど雪辱を果たした。

天理大FWに迷いはなかった。「真っすぐ押し切ろう!」。5-0とリードした前半19分の左中間スクラム。帝京大FWを約15メートル押し込むと、相手が故意に崩したという判断でペナルティートライが告げられた。1トライ1ゴールの7点が自動的に刻まれ、左プロップの加藤は「相手は王者で一筋縄ではいかないスクラム。積み重ねが結果になった」と拳を握った。

FW平均体重は帝京大の106・8キロに対し、97・1キロ。全員が1センチ単位で膝の高さを意識し、スクラムを磨き上げてきた。その背中を見るBKも密集から素早く立ち上がり、大きな相手に2人、3人で突き刺さる。5点差に迫られた後半13分以降は2トライ2ゴール1PGで突き放した。フッカー島根主将は「天理の思い、OBの思い、関西の思いを背負って戦った」と胸を張った。

SO立川らが中心だった7年前は、決勝で帝京大の3連覇を許した。当時中3で現地観戦した島根らは、小柄な15人で戦う姿を見て天理大進学を決意した。目をつぶっていたスクラムが敗因の試合が散見されると「小さくても…」と意欲を持ち入部してくる学生と、まとまりで勝つスクラムを突き詰めた。

一朝一夕ではない強化でFW戦の構図を逆転させ、NO8マキシら外国人留学生3人の同時起用が可能になった今季の新ルールも味方につけた。3連覇を飾った84年度の同大以来の関西勢による日本一へ。「喜ぶのは今日まで。明日から切り替えよう」。ロッカールームに響いた島根の声を胸に、次の大物を食いにいく。【松本航】