「無名校の星」となれ! ラグビー日本代表プロップ木津悠輔(23=トヨタ自動車)が12日、開幕まで残り100日となったW杯日本大会(9月20日開幕)代表入りへの猛アピールを誓った。宮崎市内での強化合宿は本格始動3日目となり、午前練習でスクラムを強化。現在選手4人、女子マネジャー3人という大分・由布高出身の新星が、夢のW杯をたぐり寄せる。

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代表0キャップの木津に休む間はない。細部までこだわった午前のスクラム練習。他の8人同士が組み合っている時間も、代表58キャップのフッカー堀江から声がかかった。「さっきの、姿勢ができていなかったぞ」。W杯2大会連続出場のベテランによる助言にうなずき「自分の解釈と誤差があった。もっとスクラムを磨きたい」。最前列で体を張る右プロップにとって、スクラムは生命線だ。

宮崎合宿の直前、木津は大分県由布市に立ち寄った。現在選手4人で活動する由布高。天理大在学中に教育実習でも訪れた母校で生徒と交流し「高校生の顔を見るのが好き」と原点を思い返した。小3から中3まで打ち込んだ剣道は2段の腕前。今となっては「剣道の間合いが、タックルに入るまでの1歩につながっている」と笑うが、当時の将来の目標は消防士だった。

中3で体重は98キロ。ラグビー未経験ながら県内の2校から推薦入学の誘いが来た。「でも、推薦はやめました。それで入るとガチ(ンコ)になると思って…」。由布高でラグビーを始めたが、高2の秋までは消防士志望。最上級生が涙で引退していくのを見て、無名の青年は天理大へ入学した。

天理大1年時にNO8からプロップに転向。昨春にトヨタ自動車へ進み、リーグ開幕戦から先発した。アピールは首脳陣の目に留まり、42人に絞り込まれた日本代表入りで宮崎にいる。

100日後に迫ったW杯開幕へ、今後さらにサバイバルは激化する。感情を表に出さない木津だが、胸の内は熱い。「花園に出て有名な高校以上に、出られていなかったり、部員が足りない高校がある。自分の力をアピールして(W杯代表に)入りたい」。日本大会最終メンバーは31人。機動力も兼ね備える男がサプライズを起こす。【松本航】

◆木津悠輔(きづ・ゆうすけ)1995年(平7)12月2日、大分県生まれ。由布高でラグビーを始め、3年時の全国大会(花園)大分県予選は2戦目の準々決勝で大分雄城台に0-59。天理大3年時にジュニアジャパンへ選出され、全国大学選手権4強。18年春からトヨタ自動車。178センチ、113キロ。