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IOCが高評価した2016年東京五輪の施設

 2008年6月の16年五輪1次選考で、東京都は総合点で10点満点中平均点8・3と他を圧倒する最高の評価を得た。特に評価されたポイントは「選手村」「宿泊施設」「インフラ」「環境」「安全面」だ。宿泊施設が充実しており、大会施設も64年五輪時に使用した施設のいくつかをほとんどそのまま使う環境にやさしい五輪を強調。半径8キロ圏内にほとんどの施設があるという世界一のコンパクトさもアピールする。

選手村~アクセス抜群!電化製品も買える!

インタビューに答える河野事務総長(撮影・佐竹実)
IOC評価委員に説明する山崎課長(左)

 2016年7月29日~8月14日の五輪期間中、約200カ国から選手が訪れる。原則選手は江東区有明に建設予定の選手村に宿泊することになる。敷地面積は31ヘクタール。日比谷公園2つ分、東京ドーム7個分の広さだという。収容人数は約1万7000人。2012年着工、15年完成予定。4~8人部屋といろいろなタイプの部屋を用意している。11階建てで、3階から上9層に選手が宿泊し、2階以下は選手団の事務所や施設に使う。「当初は高層棟5棟という予定だったが、選手の移動に差が出てしまうので、高さを抑えた。選手から意見を聞き、よりよいものをと考えた」と東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部施設担当課長の山崎浩明氏(47)。水辺に面したところにつくる食堂も売りの1つだという。

 そのほかに400メートルトラック、屋内温水プール、屋内トレーニング施設、テニスコートなどのレクリエーション施設のほか、診療所、映画館、クラブやゲームセンター、コンビニ、スーパーなども設置。秋葉原まで行かなくても、電化製品がそろうのも魅力だ。選手村と試合会場の往復だけという選手も多いため、さまざまなニーズに対応し、選手を支援していく街づくりがなされている。

 最も評価された点は、ほとんどの競技会場までの平均移動距離が9キロと至近であるというアクセスのよさ。競技会場、都心に近い。それなのに環境もいい。選手の70%が10分以内で競技会場に移動することが可能。羽田空港からもシャトルバスで15分という立地だ。

 選手村の施設は五輪後に分譲または賃貸予定。都が持っている土地を民間に買ってもらい、完成する直前に選手村として借りて使わせてもらうという形をとる。「注目を浴びているエリア。選手村が相乗効果を生み、街がよくなって、人が集まってくる場所になればいい」と山崎担当課長は期待を寄せる。

大会関係者などの宿泊施設~279ホテルと4万室を仮契約

4月のIOC評価委員来日時にプレゼンする河野事務総長(写真提供:フォートキシモト)
宿泊施設について語る村西副参事

 大会関係者、観客のための宿泊施設も確保しなければならない。IOCは大会関係者(IOC委員、国際競技連盟、大会スタッフ、VIP、スポンサーなど)分だけで1日4万室を用意することを要件としている。チケットの販売枚数から推測すると、宿泊を要する観客は17日間で延べ120万人と見込まれる(うち海外から23万人と予測)。東京はホテルインフラが質・量ともに充実しており、五輪スタジアムから10キロ圏内に8万室、50キロ圏内に13万室ある。立候補している4都市の中では、既存のホテルの数では東京は圧倒的に多い。これだけの数をそろえられる都市はなかなかない。選手だけでなく、観客も観戦、観光、宿泊すべてを東京でできるというコンパクトさが売りとなっている。

 現時点で大会関係者用の1日4万室のホテルをすべて決め、配宿しろというのが今回のIOCの要求だ。ホテルと仮契約し、契約書の原本をIOCに提出しなければならない。「過去の大会では、ホテルが足りず、客船を臨時の宿泊場所にしたりしたこともあった。IOCは過去に宿泊問題で苦労してきたので今の時点でここまで要求してくるのだと思う」と東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部副参事の村西紀章氏(39)は言う。

 また、料金面もIOCが心配しているところ。海外ではイベントのときには3倍、5倍になったりもする。大会関係者の4万室に関しては料金コントロールをしてくれということもIOCの要求の一つ。2016年大会時の料金を、物価上昇分などを考慮し、現在の28%増に抑えた。日本のホテルは品質に比べて、料金的にはリーズナブルだ。村西氏は「既存の279ホテルと合意し、1日あたり4万室の確保ができたことでIOCから高い評価を得ることができると思う」。宿泊面の充実が東京五輪の非常に強い、強力な売りになっている。

競技施設~64年五輪の施設を使い新設は5つ

 既存のインフラを使いながら、世界一コンパクトな大会にするというのが今回の東京五輪のアピールポイント。半径8キロ圏内に射撃、サッカーの予選を除くすべての競技会場、選手村などを配置。26競技あるが、新設の施設はわずか5つ。既存の会場が都心部にあり、臨海部に新しい会場が増えるというのが全体のコンセプトだ。晴海に建設予定のメーン会場のオリンピックスタジアムは開会式用に10万人収容のものをつくるが、終わったあとは8万人収容にし、コンサートや国際試合で使用できるようにする。バレーボール用に代々木にアリーナ、湾岸地区にボート・カヌー(フラットウォーター)の競技会場となる水上競技場、葛西臨海公園内にカヌー(スラローム)会場、若洲にセーリング会場を新たにつくることになっている。

 そのほか建物の一部を増築したり、建て替えたりもする。64年大会で使った会場をメモリアル的な意味を含めて、そのまま使おうというのがある。当時つくった施設はよく維持管理されている施設が多く、稼働率も高い。山崎担当課長は「64年に使った会場をまだ使っているというのは海外の方々に驚かれるところ」と話す。

半径8キロ圏内に配置される競技施設

その他:輸送、セキュリティーなど~世界で最も治安の良い大都市

 輸送面では、高密度で効率的な鉄道インフラと高速道路ネットワークで競技会場への良好なアクセスが可能であると高く評価された。渋滞を心配する声が多いが、開催が7月29日~8月14日と東京の交通量としては1年を通じて状況がいい時期に開催する。呼びかけやお願いをし、期間内の都内の交通量を2、3割減らすことも考えるという。期間内は五輪専用レーンを設置し、約7割の選手が選手村から各競技会場に10分以内で到着できることを目指す。環状道路も整備しており、今よりは状況がよくなる予定だ。

 セキュリティーでは世界で最も治安の良い大都市というのをアピール。2万人を超える警察官を五輪警備に投入し、安全で平和な祭典にすることを掲げる。日本や東京のセキュリティー機関が、五輪を実現するのに充分な警備資源と経験を保有していることに運営側も自信を持っている。

 環境面でも東京は、緑地の増加や再生水利用、排出ガス規制などの環境対策が行われ、良い環境であると認められた。山崎担当課長は「計画面での評価はいただけると思う。東京は中心地全体を五輪に使う。それができるのは東京だから。街全体が五輪で楽しくなる大会ができるのは東京だけ。それが東京の売り」と自信を見せた。

◆山崎浩明(やまざき・ひろあき)
 1961年(昭36)生まれ、神奈川県出身。東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部施設担当課長。94年に入都。建築職として都施設の設計・工事、建築行政の分野に携わる。08年4月現部署に異動。
◆村西紀章(むらにし・のりあき)
 1970年(昭45)6月13日、東京都生まれ。東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部副参事(財政担当)。93年に入都し、人事・労務管理、福祉、雇用就業分野など多様な分野を経験。07年4月に現部署に異動。





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