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東京オリンピック・パラリンピック招致委員会
河野一郎事務総長に聞く「今だから東京で新たな五輪を」 その1

 10月2日にデンマークのコペンハーゲンで行われるIOC総会で2016年夏季五輪の開催地が決定する。「半世紀ぶりに東京で」と石原慎太郎都知事とともに世界を飛び回ってアピールを続けるのは「東京オリンピック・パラリンピック招致委員会」の河野一郎事務総長(62)だ。本職は筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻教授。スポーツ医学の第一人者がなぜ招致委員会の仕事に力を注ぐのか。

五輪への想い-幼いころの出会いがきっかけ

インタビューに答える河野事務総長(撮影・佐竹実)
インタビューに答える河野事務総長

河野事務総長 88年ソウル五輪、92年バルセロナ五輪、96年アトランタ五輪には日本選手団のチームドクターとして関わり、五輪は人と国を動かす、成果をあげるためには組織として取り組む必要があると感じた。2001年にはJOCの理事になり、その縁で06年に招致委員会の事務総長になった。筑波大学は、前身の東京高等師範校長の嘉納治五郎先生がちょうど100年前の1909年に日本、アジア初のIOC委員になったということもあり、かなりの理解を示してくれている。

 選手ではなかったが、さまざまな形で五輪と関わってきた。五輪への思いは人一倍強い。それは子供のころに受けた影響が大きいという。1つの出会いがきっかけだった。

河野事務総長 五輪に興味を持ったのは、小学校2、3年のとき。体育の先生が(1932年)ロス五輪競泳800メートルリレーの金メダリスト、豊田久吉先生だった。五輪、フェアプレーの素晴らしさ、アマチュアリズムの重要性などを教えてもらった。そういう環境で育ち、(64年)東京五輪が行われたので、きれいな形で五輪が頭の中に入ってきた。

 自身が豊田先生に出会い、五輪、スポーツの素晴らしさを感じたように、日本の子供たち、若い人たちにも五輪を身近で感じ、影響を受けてほしいという。

河野事務総長 五輪はナショナルイベント。サッカーW杯があったが、関わる人の規模が違い、若い世代に対する影響が違う。石原都知事の動機でもある。若い世代が、五輪を見て面白いと思い、憧れをもってやれるかどうか。面白くなければ子供は何もしないし、憧れなければモチベーションは上がらない。面白さ、憧れを持ってスポーツに取り組む姿勢を生み出すのに五輪が必要だと思う。

なぜ今、東京五輪なのか

4月のIOC評価委員来日時にプレゼンする河野事務総長(写真提供:フォートキシモト)
4月のIOC評価委員来日時にプレゼンする河野事務総長(写真提供:フォートキシモト)

 64年の東京五輪は発展途上国のインフラ整備型五輪だった。「日本を先進国に」と国民一丸となり、反対する人はほとんどいなかった。五輪のおかげで飛躍的に東京の都市化が進んだ。十分に街も整備され、これ以上発展の必要はないと思われるのに、東京でなぜ今五輪なのか。

河野事務総長 そろそろいろんな意味でターニングポイントにきていると思うから。今までの五輪でも、72年ミュンヘン五輪の選手村襲撃テロ、76年モントリオール五輪の経済的破綻、80年モスクワ、84年ロス五輪のボイコット問題、88年ソウル五輪のドーピングなど、いろいろターニングポイントがあった。今問題の温暖化などの環境・エコ、フェアプレー、子供たちのスポーツ、五輪離れなどは世界的な傾向。子供たちの肥満の問題もある。これらを変えることができるのがスポーツの力、五輪の力で、そういうことに対して明確な方向性を出していくのに、東京はいい。五輪は単なるショーではないので、そこにいかに子供たちが関わっていくか、関わるきっかけになるかが重要だ。また、施設が十分とはいってもまだまだ。五輪が来なければ、東京の中のスポーツ施設がユニバーサルデザインになることはない。五輪をきっかけにハンディキャップの方々に理想的な状況をつくれるというのも事実。東京五輪から半世紀。あとではなく、今やることが重要。もうそろそろ、機が熟してきたのではないか。

 IOCに提出した立候補ファイルには、いくつかのアピールポイントが挙げられている。射撃とサッカー予選会場以外のすべての競技場を都内の半径8キロ圏内に配置し、64年五輪時につくった既存の施設を7割使用する予定。また、低公害車導入や緑の創出、高水準の医療体制、治安の良さ…。64年東京五輪とはまったく違う成熟した国家のコンパクトでエコな五輪を強調する。

河野事務総長 バルセロナ五輪を経験したが、五輪はスポーツだけはないなと感じた。街、都市が文化と非常に結びついている。バルセロナは近代五輪の中では、成功した五輪。街に五輪が完全にフィットしていた。モンジュイックの丘、ガウディ…、構えることなくスポーツと文化が融合していた。これはひとつのあり方。東京も都市の真ん中で、五輪と街と人が融合するいい五輪を展開できると思う。

 また、河野氏はドーピング問題に力を注いできた。01年には日本アンチ・ドーピング機構(JADA)設立に貢献し、理事長に就任。02年ソルトレーク五輪、04年アテネ五輪では世界アンチ・ドーピング機構(WADA)のインディペンデント・オブザーバーも務めた。

河野事務総長 私が関わった88年ソウル五輪では、ベン・ジョンソンのドーピングの事件があり、スポーツ、五輪の力と光と影を間近で見た。ドーピングについては乗り越えたとはいえないが、かなりの問題意識をもって取り組むようになってきている。ロゲ会長になってからは、必ずスピーチの中にはドーピングの話が出る。難しい問題だが、ドーピングがまずいという意識が定着し、一部の人がやるというイメージから、ほっとけない問題だというイメージが強くなった。ドーピング問題は、ビジネスに影響する。そういうリスクをはらんでいるということをビジネス界も分かり始めてきたので、契約の時点から盛り込むようになってきた。日本で考えている以上に社会問題であり、経済的な問題だ。

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