大相撲の鳴戸親方(58=元横綱隆の里)が、角界再生の起爆剤として「新弟子のドラフト制」を提案する意向であることが27日、分かった。大学や高校で実績を挙げた入門希望者の所属部屋を、獲得希望する部屋による抽選で決めるというもの。現在は個人の意思が尊重され、入門者が自由に所属部屋を選べるが、同親方は「派閥や癒着が生まれ、それが八百長を生む温床になりかねない」と指摘。放駒理事長(元大関魁傑)と同じ二所ノ関一門所属だけに、自ら次回一門会で提言したい意向だという。

 「ドラフト制度」導入を訴える理由は、「弟子に迎合する親方が多い」ためだという。環境の良さなどを口説き文句にスカウトするため、入門後に厳しく指導できないケースがあると指摘する。しかも、アマチュア時代の実績次第では幕下付け出しでデビューし、数場所で十両に昇進する。十両以上は一人前として扱われ、1人暮らしを許されることも多いため、師弟関係は希薄になる。そこに八百長へと傾く隙が生まれると危惧している。鳴戸親方は「ドラフトのようにすれば師匠も遠慮なく指導できる」と、再発防止の相乗効果もあると力説した。日本相撲協会は前日26日に、再発防止委員会(仮称)のメンバー8人を発表したばかり。委員の親方らも斬新な改革に前向きなだけに、こうした新たなアイデアが、協議対象となる可能性は十分ある。

 一方で関脇稀勢の里ら弟子には、部屋から徒歩圏内にある図書館通いを推進するという。本場所再開が未定で、通常よりも自由な時間が増えるため「いろいろな分野に触れることで教養が身に付く。難しい本でなくても童話からでもいい」と話した。八百長問題は特別調査委員会による真相解明に世間の目は向くが、現場からも再発防止に向けた活発な意見が出始めた。