指揮官・岡田彰布の予言が的中した試合となった。前日18日、スコアは2-1だったものの阪神打線は2桁安打を放って、巨人にサヨナラ勝ち。試合後、テレビ・インタビューで岡田はこんな話をしていた。

「今日でちょっと吹っ切れたかもわからないですね、打線も。明日からもっと打ってくれるでしょう」。まさにその通りの結果となった。打線は2日連続の2桁安打で今季最多タイの7得点をマーク。首位・中日を相手に昨年を思い出させる快勝となったのだ。

内容もよかった。悩める4番・大山悠輔が待望の一発を豪快にバックスクリーンへたたき込み、森下翔太にも4号“キング弾”が飛び出す。投げては先発・青柳晃洋が6回無失点の好投。9回表にはこの日、登録された期待の左腕・門別啓人が登板と、虎党が大多数を占める4万2594人の観衆には見どころたっぷり。まさに“花金”ナイターとなったかもしれない。

その7得点の背景には、しかし、序盤2回にベンチの勝負があったと思う。この回、1死満塁から“満塁男”の8番・木浪聖也が先制適時打。ここで打席には青柳が入った。ここで昨年の開幕戦を思い出す。

DeNAを相手にしたその試合、阪神は2回に2点を先制。なおも無死満塁で開幕投手・青柳晃洋が打席に入った。そのとき岡田は青柳に“三振指令”を出している。あわよくば…で投手に打たせて併殺打でも出れば雰囲気が変わることを恐れたからだ。

「そんなん、おまえ、当たり前よ。いらんことすんな、言うたよ」。わざと三振させた? という質問に岡田ははっきり答えたものだ。だが、この日は打って出た。そして青柳は右翼へ犠飛。これで2点目が入り、ガッツポーズをつくった青柳自身も波に乗り、好投へとつながった。

「あそこはイケイケやったね。積極的にというか。なかなか点数も取れてないし。青柳はバッティング好きやしね。まあ、ケース・バイ・ケースよ」。打撃不振のチーム状況を受け、ヘッドコーチの平田勝男はそう説明した。

今回はリスクを承知で打って出たということだろう。それが「吉」と出ての7得点なのだ。さあ“2点地獄”は今月5日のヤクルト戦(神宮)で7点(6日にも4点)を取ってから始まった。今季初貯金で、しっかりと流れを変えるためにも20日のゲームが大事になる。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)