今大会NO・1の“さわやか右腕”が力尽きた。県岐阜商の高橋純平投手(3年)は5失点敗戦にも「甲子園は楽しかった」と終始笑顔だった。高校入学後、公式戦最多の5失点。昨秋の東海大会4試合33イニングで自責1の男のプライドは引き裂かれたが、「相手が上だった」と完敗を認めた。

 0-0の7回に3連打などで3失点。「スプリットを入れて全球種で勝負しましたが打たれてしまいました」。8回も直球勝負にいったが2点を失った。初戦、2戦目と最速150キロの真っすぐはこの日147キロ止まり。「甲子園では通用しないことが分かったので、一からやり直したい」とリベンジを誓った。

 小川信和監督(43)は「ベンチでも相手が上だと、冷静に言えるところは高校生離れしている」と精神面での成長を評価した。阪神を始めプロのスカウト陣をうならせたポテンシャルの高さは大谷級(日本ハム)。今夏日本で初開催する第27回U18(18歳以下)W杯(8月28日から10日間、甲子園ほか)のエース候補には間違いない。

 土は持って帰らなかった。「最初からそのつもりでした。夏はとことん勝ちにこだわってまた甲子園に来たい」。11安打5失点の悔しさをバネに、さらに大きくなって甲子園に帰ってくる。【浦田由紀夫】