第63回春季北海道高校野球大会室蘭地区の組み合わせ抽選が24日、むかわ町内で行われた。昨年秋まで連合チームに加わっていたえりもが20年夏以来、4年ぶりに単独チームに返り咲いた。同校の元男子バスケットボール部員4人を加えて10人のチームが、コンブ漁が盛んな漁師町を野球で活気づける。この日、十勝地区でも抽選が行われ、23日は札幌地区の抽選が行われた。

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えりもが単独チームで春に挑む。3月まで部員6人で活動してきたが、野球経験がある3人を含む元バスケットボール部員4人が野球部に入部。20年秋から連合チームに加わってきたが、メンバー10人をそろえて4年ぶりの単独出場を果たした。遊撃手の斉藤慶太主将(3年)は、「単独チームは新鮮な感じで、連合チームと違って連係を取りやすい。必ず1勝する」と意気込んだ。

えりも町はコンブ漁が盛んな漁師町。斉藤主将を含め、部員の半数以上の実家がコンブ漁を営む。斉藤は漁が行われる7~10月の朝4時半から約2時間、コンブを干す作業を手伝った後、学校へ向かう。春季大会の時期も浜に流れ着いたコンブを取るコンブ拾いの手伝いもある。漁では約20キロのコンブを一度に運ぶこともあり、「きついけど、体力強化につながる」と、漁で鍛えた体を野球に生かす。

今春のセンバツには酪農のまちとして知られる別海町から別海が昨秋の道大会4強入りを果たし、21世紀枠で甲子園に初出場した。別海の躍動に「刺激を受けた」(斉藤)。野球で地元を熱狂させた別海を手本に漁師町を盛り上げる。指導8年目の林宏幸監督(36)は「単独で出られることになり、『良かったね』と町民に声をかけられたので、うれしく思います」と目を細めた。初戦は昨年創部100周年を迎えた古豪・苫小牧工と対戦する。斉藤は「緊張せずにリラックスして楽しみたい」と奮戦を誓った。【石井翔太】