4番の座は、絶対に渡さない。第27回U18(18歳以下)ワールドカップ1次リーグで、高校日本代表がオーストラリアを破って開幕3連勝を飾り、2次リーグ進出を確実にした。4番の早実・清宮幸太郎内野手(1年)が、9回に10打席ぶりのヒットとなる右翼線二塁打を放った。ここから打線がつながって、ダメ押しの5点を奪取した。

 待ちに待った1本が飛び出し、“清宮節”が復活した。4打席無安打で迎えた9回1死一塁。「ホームラン、ホームラン、清宮」との大声援の中、真ん中低めの初球を振り抜いた。右翼線に運んだ二塁打は、ブラジルとの初戦の第4打席で放った遊撃内野安打以来10打席ぶりのヒット。「(バットの)先っちょで、打ち損じですけど、1本出て少し気分が楽になりました」と胸をなで下ろした。

 4番の意地を見せたかった。前日29日の米国戦は高校入学後、公式戦16試合目で初の無安打に終わった。「打順が変わるんじゃないか、という不安はあった」と言うが、3試合連続で4番に起用された。試合前の練習では、西谷監督から「ボール球を見極めて、根気強く打つクセをつけろ」とアドバイスを受けた。期待に応えるためにも、結果を出すしかなかった。

 清宮 4番は、自分の心の支えになっている。(西谷監督に)ぶれずに使っていただいて、まだ信頼の糸がつながってくれてるんだなと思った。その糸が切れないように、どんどん太くしていきたい。できれば(4番を)離したくない。

 常に頂点だけを目指してきた。4番はチーム最強打者の証し。1年生にしてつかんだJAPANの4番を、絶対に渡したくなかった。「1番にならないと、後にも残らない。やっぱり、2番じゃダメなんです。1番になったから歴史に残るというか、2番じゃ満足できないです」。中1時に東京北砂リトルで世界一、今夏の甲子園で1年生最多タイの2本塁打8打点をマークした怪物は、歴史に名を刻み続けるつもりだ。

 復調のきっかけはつかんだが、今大会は3試合で10打数2安打の打率2割。「本当にこんなもんじゃないし、このままでは終われない。世界一に向けて、自分が引っ張る気持ちで貢献したい」。ネット裏で父克幸氏(48=ラグビー・ヤマハ発動機監督)が見守る前で高校初のスランプを脱した清宮が、ここから本領を発揮する。【鹿野雄太】