打ってもすごいんです。横浜(神奈川)藤平尚真投手(3年)は最速152キロを誇るマウンドではなく、打席で猛威を振るった。

 5回3失点の借りは、自らのバットで取り返した。6回にこの日3安打目となる左中間ソロを放つと、7回にはバックスクリーン左へ推定130メートルの通算21号満塁弾を放り込んだ。2打席連続で直球を仕留め「ピッチングで迷惑をかけたので、打撃で貢献しようと思いました。打って投げて走るのが高校野球のエースです」と涼しい顔で言ってのけた。公式戦初の1試合2発を含む4打数4安打7打点。横浜隼人を16-3の7回コールドで下し、4年連続の4強に導いた。

 そしてバットから投球の流れを変えた。初回、先頭打者に死球を与え、まさかの12球連続ボール。「マウンドが硬かった。肩が軽すぎたのもありました」。前日27日、この日とブルペン投球を通常より10~20球ほど少なめにしたところ、感覚が変わった。ストライクが入らず無安打で1点を失ったが、2回に今大会初安打を放つと楽になった。最速は148キロ。2回に今大会初被弾したが、3回から5回まで1安打無失点に抑えた。

 パワーの源は、185センチ、83キロの恵まれた体にある。小さいころから牛乳が好きで、1日1リットルを飲み干した。この冬から食トレも敢行し、この1年で体重は10キロ増。強靱(きょうじん)な下半身に、集まった日米11球団のスカウトも熱い視線を送る。アストロズ大慈弥環太平洋担当部長は「すごい当たりだった。投手としても将来メジャーを目指せる素材。大谷2世になれる」と絶賛した。

 公家響主将(3年)、徳田優大捕手(同)にも本塁打が出て、チームは5試合で10本塁打を量産中。あと1本で85年日大藤沢と、14年東海大相模が作ったチーム1大会の最多本塁打記録に並ぶ。平田徹監督(33)は「それぞれが役割を果たし、次も地に足をつけて戦っていきたいです」と慎重だが、練習の成果は確実に表れている。【和田美保】