大阪桐蔭をけん引したキャプテンが、日刊スポーツに特別メッセージを寄せた。中川卓也主将(3年)。チームは昨秋の明治神宮大会準決勝で創成館(長崎)に4-7で逆転負け。公式戦唯一の敗戦を転機に、18年春夏の甲子園無敗王者に突き進んだ。その背景にあった秘話を明かした。

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 去年、自分のミスで悔しい負け方をして、そこから始まった新チームだったので、この春夏連覇という強い気持ちをもって1年間やってきたので、うれしく思います。(昨夏に)キャプテンと言われた時は「よしやってやるぞ」という気持ちと「どうやったら秋、チームを勝たせられるだろうか」ということをまず考えました。

 個性的な選手が多いですが、プラスにとらえれば、どこのチームよりも勝ちたい思いが人一倍強い連中。難しさはありましたが、みんな勝ちたいという思いがあった。新チームが始まって秋の大会が終わるころまでは、ずっと考えて考えて悩んでいました。前の代で出場させてもらっていた者が多く、どこか個人に走ってしまっている部分があった。打たなかったら声を出さない、エラーをしたら態度に出す、そんなことが多く見られました。それじゃ勝てないということを思っていて、言ってはいたんですけど、なかなか行動に表すことができなくて…。

 明治神宮大会のあの負け(準決勝・創成館戦での敗戦)があったから、自分たちの弱さを見つめ直すことができました。あの時期は本当に勝ちたかったので、悔しい思いがあったんですけど、あの負けがいい財産、いい経験になって今に生きてるかなとは思います。

 キャプテンは嫌われてなんぼ。嫌われてこそいいキャプテンと自分の中でとらえています。みんなが言いづらいことを言うのが自分の役割だと思う。勝つためだったらどれだけ嫌われてもいいと思っていたので、最後の夏が終わった時に「中川がキャプテンで良かった」って言ってもらえればそれでいいと思いました。

 レギュラーメンバーを練習から外したりもしました。打てなくて、ふてくされて、やる気がなかったとき、「1回外出ろ」と言って話をしました。本人も人一倍自分に厳しくて、レギュラーを守ろうと必死。だけど、厳しく言いました。泣いていたので「お前だけのチームじゃない。お前だけが良かったらいいのではない。お前が悪くてもチームが勝てばそれでいいねんで」と言葉をかけました。

 昨夏負けた時、福井さん(17年の福井章吾主将)に言われました。「お前が折れたらチームは折れる。キャプテンが変わったらチームは変わる」と。その言葉があったので、自分も頑張ろうと思えましたし、今でも大切にしています。

 自分を主将として受け入れてくれ、周りの選手には本当に感謝したいです。本当に最高で本物のチームでした。(大阪桐蔭主将)