戦前の名投手で、ことし1月に野球殿堂入りした故嶋清一氏の表彰が15日、開催中の全国高校選手権大会の第1試合開始前に甲子園球場で行われた。

 嶋氏は1939年の全国中等学校優勝大会(現全国高校選手権大会)で和歌山・海草中(現向陽)のエースとして準決勝と決勝の無安打無得点試合を含む全5試合を完封し、同校を初優勝に導いた。しかし太平洋戦争のため45年に24歳で戦死した。

 海草中で嶋氏と同期だった古角俊郎氏が花束を受け取り「今のことは何も覚えてないが、あの時のことは球筋から何からすべて思い出す。嶋は最高の男だった」と感慨深げだった。

 レリーフを胸に抱いた向陽の加森禎人主将は「偉大な先輩を誇りに思う。表彰でも甲子園に来られてうれしかった」と喜んでいた。