センバツ高校野球(14日組み合わせ抽選、22日開幕=甲子園)に出場する東北(宮城)が9日、仙台市泉区の同校グラウンドで5回戦の紅白戦を行った。レギュラー中心の紅組1番、植田一気(かずき)中堅手(2年)が2安打1盗塁。昨秋公式戦で、チームトップの打率4割8分3厘を記録した核弾頭が、本番へ目覚めの予感だ。

 チーム一の打率、そして俊足。東北の1番植田には「イチ」がよく似合う。この日も、加藤剛二塁手(2年)と並んでチーム一の2安打だ。1打席目は遊撃への内野安打、2打席目は鮮やかに右前打。「持ち味は足を絡めること」と言う植田は1打席目の打席を「良かった」と振り返った。

 巧打と快足に加え、3回には強肩も見せた。1死二塁で深い飛球をキャッチすると、ワンバウンドで三塁に送球し走者をくぎ付けにした。三拍子そろった選手らしく、目指す選手はヤクルト青木だが「青木選手はイチロー(マリナーズ)を見ている。大きく言えばイチローが目標」とまで言い切った。

 身近な目標の選手もいる。06年夏、早実(東京)が全国制覇した時の1番、川西啓介(3年)だ。横浜青葉シニアで1つ上の先輩と、冬休みの帰省中にファミレスで会食した。野球のアドバイスを求めた植田に、川西は技術的な指導はせず「最後は気持ちだ」と話したという。日本一の教えを授けた先輩と同じ舞台に立つ。「思い切ってプレーするだけ」と植田。「一番、元気な子どもになれ」との思いで命名された名の通り、本番で“一気”の爆発を見せる。【清水智彦】