<高校野球・春季東北大会:酒田南5-4東北>◇15日◇4日目◇YZ・タカスタ◇準決勝

 酒田南(山形)が延長11回、5-4で東北(宮城)にサヨナラ勝ちし6年ぶり2度目の決勝進出を決めた。エース小山貴史投手(3年)が148球で完投、昨秋V腕の東北・萩野裕輔投手(3年)に投げ勝った。

 プロ注目の萩野との投げ合いにも、1歩も引かない。3番で打席に立つライバルには「打撃から乗せないようにした」と、5打数無安打に封じた。逆に自分の打席では先頭の延長11回、左前打で出塁しサヨナラ勝ちのおぜん立て。148球の熱投で、東北屈指の左腕に投げ勝った。

 1年秋に覚えたカットボールが有効だった。打者の手元で微妙に変化する武器でバットの芯を外し、強力打線から10奪三振。その裏には、ブルペンで打者を見立てたコーンを打席に置く内角攻めの特訓があった。紅白戦登板後、コーンが変形するまで投げたこともある。

 そして、寮で同部屋だった先輩の姿も参考になっている。昨夏県大会準決勝の日大山形戦で延長12回、149球を投げた昨年のエース山本斉(ヤクルト)には「気迫の面で学んだ」。その試合でサヨナラ負けを喫した先輩に対し、同じ延長戦に挑んだ自分は、気迫で勝ってみせた。

 中学時代には、親類の知人が監督を務める奈良のボーイズリーグ「生駒ベースボールクラブ」に、片道3時間かけて通ったこともある。9回2失点で完投勝利した13日の大曲工(秋田)戦に続く勇姿に、自宅の三重から駆けつけた父政典さん(44)も「負けん気を感じた。大人になった」と成長を感じていた。

 「(東北高の強さは)次元が違うと思っていた。チームが一丸となって勝てたと思う」。小山が優勝候補を下した自信を胸に、頂点に立つ。【由本裕貴】