<高校野球・春季宮城県大会:白石工2-0利府>◇26日◇3位決定戦◇クリネックススタジアム

 3位決定戦で、白石工が今春センバツ4強の利府を2-0で下し、25年ぶり2度目の東北大会(6月5日開幕=福島)出場を決めた。センバツ4戦で計39安打を放った利府打線をエース高橋富広(3年)が4安打完封した。

 信じられない-。白石工ナインはそんな表情で勝利の瞬間を迎えた。「校歌を歌ってるときから実感がわいてきた」と本郷拓真捕手(3年)。全国4強の利府に完勝し、同校の新たな歴史をつくった甲斐裕規監督(38)は「いい組織になった…」と部員たちをたたえた。

 エース高橋が強力打線を惑わせた。最速は120キロで甲斐監督も「球威はまったくない」と話す左腕だが、丁寧にコーナーを突くピッチングで97球完封。公式戦初先発マスクの本郷も大舞台で好リードを見せた。正捕手の小野寺寿希也(2年)が家庭の事情で欠場。普段はベンチから小野寺の配球をノートに記し、改善点を指摘する。「自分のレギュラー取りは別問題」とサポート役に徹する本郷だがこの日は、「来られない小野寺の分まで」と、これまでの研究を生かし、初めて主役となった。

 25年ぶりの栄光の裏に、部員55人の「痛み」もあった。「ここまで部員が多いのは初めて」と甲斐監督。全員に平等な練習機会や試合機会を与えていたが3月「これではダメだ」と、1、2軍に分ける改革を行った。1度はチームがバラバラになったが、長山大志主将(3年)が何度も話し合いの場を持ち「勝てる組織」をつくり出した。

 甲斐監督は「野球が好きで集まってるのに(1、2軍をつくり)申し訳なかった」と、東北大会までに全部員に、もう1度チャンスを与える考えだ。25年ぶりの大舞台-。目標を聞かれると甲斐監督は「全然思いつかない」と初々しさを見せていた。【三須一紀】