<高校野球・秋季九州地区大会>◇24日◇1、2回戦◇宮崎サンマリンほか

 福岡工大城東(福岡3位)が伊万里商(佐賀2位)を7-0の8回コールドで破り、最高のスタートを切った。8回4番中谷将大(2年)が左翼スタンドへ2ランを放ち、最後を締めた。今大会で勇退予定の杉山繁俊監督(52)に有終の美をプレゼントしようと、ナインはセンバツを目指す。3季連続甲子園を狙う明豊(大分1位)は城北(熊本2位)を1-0で下し準々決勝進出。宮崎商(宮崎3位)鹿児島城西(鹿児島2位)も初戦を突破した。

 最後は4番がひと振りで決めた。5点差で迎えた8回無死一塁、福岡工大城東の中谷の打球は左翼スタンドで弾んだ。1年秋から4番に座る主砲は「自分たちの代になったので自分が引っ張っていく打撃をしなければと思っています」と飛距離十分の当たりに目を細めた。

 雨で1時間の中断をはさむ2時間53分の長丁場となったが、集中力は途切れなかった。捕手・中谷のリードにも助けられエース松田直也(2年)は8回零封。序盤不安定だったが、中断後の3回以降は立ち直り、三塁を踏ませない投球を見せた。中谷は本塁打を含む2安打4打点と活躍。4番が打ってエースが抑える理想的な展開となった。

 杉山監督は「もっとみんな硬くなるかなと思っていたけど、いい出足ができたと思う」と上々のスタートに合格点をつけた。今夏の県大会後、勇退を表明。今後は総監督に就任する。秋の県大会、九州大会は継続して指揮を執っているが、チームが敗れれば、監督生活は終わる。前日、杉山監督は教え子に「最後に甲子園に連れて行ってくれ」と言葉をかけた。「最後はいい形で監督を送りたいです。もちろん、甲子園です」と中谷は言う。

 センバツが確定的になる4強まであと2勝。「1日でも長くベンチで選手とやりたいですね」という杉山監督の気持ちは選手も同じ。7度目の甲子園をプレゼントするまで負けるわけにはいかない。【前田泰子】