3月23日開幕の第83回選抜高校野球大会(甲子園)の出場32校を決める選考委員会が28日、大阪市北区で開かれた。組み合わせ抽選会は3月15日に行われる。

 吉報が校長室の電話を鳴らした午後3時すぎ、東海大相模(神奈川)の佐藤大貢(ひろつぐ)主将(2年)は体育の授業で卓球をしていた。昨夏の甲子園では準優勝。そのリベンジを果たす舞台を待ちわびていた。「今ごろ電話来てるかな」とソワソワしながらピンポン球を打つ。その直後だ。巨人原監督を擁した75年夏以来となる、3季連続甲子園出場の一報が入った。

 「目標は全国制覇。それだけです」。ユニホームに着替えると、迷わずに断言した。昨年の甲子園は、春夏ともにブルペン捕手としてベンチ入り。試合出場こそかなわなかったが、夏は優勝目前で負けた3年生を見て号泣した。今年は主将で4番で捕手。チームの要の責任感が芽生えていた。

 いろいろな人の思いを背負っている。母乃信子(のぶこ)さんの兄、俳優柳葉敏郎とは1月2日に会い「出るからには頂点を目指せ」と激励された。5、6歳のころにキャッチボールをしてもらい、野球を始めるきっかけになった伯父の言葉に背中を押された。

 そして昨年のエース一二三(ひふみ、阪神ドラフト2位)。テスト期間中でこの日まで同校に戻っており、発表直後の寮で「俺らの分も頑張れ」と雪辱を託された。「夏は先輩たちが、最後まで一生懸命やる姿を見せてくれた。今年は一二三さんのようなスターはいないけど、みんなで1つの大きな力に変えていきます」。佐藤が引っ張って、今度こそ甲子園の決勝に母校の校歌を響かせる。【鎌田良美】