<春季高校野球岩手大会:盛岡大付5-1花巻東>◇27日◇準決勝◇市営花巻球場

 盛岡大付が、花巻東の岩手県大会4季連覇を阻止した。2回に逆転すると3回からプロ注目左腕、出口心海(しんかい、3年)が登板。7イニングを3安打無失点、9奪三振で県内26連勝中だったライバルに土をつけた。盛岡大付は2大会ぶり9度目の東北大会出場を決めた。

 4安打で3点を奪った直後の3回表、盛岡大付・関口清治監督(35)に迷いはなかった。先発の斉藤洋輔(3年)から出口への継投。公式戦で7連敗していたライバルをたたくために「勝ち越したらいこうと思っていた」と早々に勝負手を打った。

 期待にエースも応えた。「1回戦では腕が振れなかった」が、この日は直球の威力が出色だった。得意のスライダーを交えて7イニングで5者連続を含む9三振。打者としてもプロから注目される大谷翔平(3年)を2打数無安打に抑え、5回無死一塁の場面では二ゴロ併殺に打ち取った。

 昨年の悔しさが雑草左腕をさらに大きく成長させた。秋の準々決勝花巻東戦では、リードを守れず9回2失点で降板。故障で大谷を欠く相手に延長で敗れた。弱い自分から脱却するため、冬場は長靴をはいてのランニングに加え、ジム通いで下半身を強化。「今日は去年の自分たちへのリベンジだった。秋より自信と余裕がありました」。高校入学前116キロだった直球は雪解けとともに140キロを超え、弱かった自分と決別した。

 打線も甲子園2季連続準優勝の光星学院(青森)金沢成奉総監督(45)の指導で飛躍的に向上。2ケタ安打で王者を退けた。「3年前(09年)の東北大会以来、優勝旗がない。選手には優勝しなければ駄目だと言いました」と関口監督。大会直前、35歳の誕生日を好物の缶コーヒー(1箱)で祝ってくれた選手とともに、チーム一丸となって頂点に上り詰める。【今井恵太】