<高校野球広島大会:広島工13-5尾道>◇25日◇準決勝◇マツダスタジアム

 県工が延長14回に8点の猛攻で決勝進出!

 広島大会は準決勝2試合が行われ、広島工が延長戦で尾道を下して11年ぶりの決勝進出を果たした。延長14回に高校通算45本塁打の宇佐美塁大(るいた)内野手(3年)が左中間への決勝適時二塁打を皮切りに一気に8点を奪った。決勝は26日にマツダスタジアムで行われる。

 風が吹いた。そこに執念が乗り移った。延長14回の熱戦に区切りをつけたのは高校通算45本塁打の広島工宇佐美だった。

 左翼方向に緩やかな風が吹き始めた延長14回1死二塁。宇佐美は尾道沖田のシュート回転した直球を捉えた。左中間を大きく割ると、満面の笑みで二塁へ到達した。この一打から猛攻が始まった。小平侑弥外野手(3年)は右翼へのランニング満塁本塁打。スコアボードに大量「8」の数字が輝いた。

 宇佐美

 自分で決めるつもりだった。ストライクゾーンに絞って振っていこうと思いました。

 今大会で3本塁打の大砲も沖田、森実の緩急をつけた投球に苦しんだ。前の打席まで5打数無安打1四球と結果を残せなかった。

 打席の直前に沖元茂雄監督(47)からアドバイスをもらった。「焦って体が前に突っ込んでいる。右足に体重を乗せて回転で打つように言われました」。絶不調に陥った春先に受けたアドバイスと同じだった。1カ月かかって修正したことを、試合中に直してみせた。それも成長した姿だった。

 一時は4点をリードされた。劣勢を巻き返す原動力となったのはエース辻駒祐太投手(3年)だ。2回途中から登板し、延長14回まで1失点で抑えた。「準備はできていました。気持ちでは打たれないと思っていました」。宇佐美の勝ち越し打に「あいつなら決めてくれると思った」と笑顔で振り返る。

 164球の熱投だった。くしくも決勝に進んだ盈進の谷中と投球数は同じだった。「谷中とは中学時代も何試合か投げ合ったことがあります」とエースは再戦に意気込む。昨秋の県大会準々決勝で7回コールド負けした県工が、成長した姿を甲子園出場という形で証明する。【中牟田康】