<全国高校野球選手権:常総学院14-0杵築>◇9日◇1回戦

 常総学院・佐々木力監督(46)が初陣をド派手に飾った。先発全員の14安打で14得点。1回に4安打で4点を先制。3回には大会タイ記録の1イニング3三塁打が飛び出し、一挙10得点で勝負を決めた。佐々木監督は「ドキドキで。この1勝は選手にもらった1勝だと思う。こんなに運がいい男はいない」と笑った。

 自他ともに認める“木内マジック”の後継者だ。「木内監督に教えてもらった機動力野球を毎日練習してきた。それができた」。序盤から大差の展開に采配を振る場面も少なくなったが、3盗塁に3犠打を絡めて先の塁を奪い取った。

 昨年8月、コーチから昇格し、春夏通じて3度優勝した木内幸男氏(81)の後任となった。選手の動揺を防ぐため「木内野球は変えない」と宣言。機動力を生かす戦術を変えない一方、違いもある。杉本智哉主将(3年)は「木内監督は失敗すると交代。佐々木監督は失敗しても、1回、チャンスをくれる」と感じている。

 試合後、佐々木監督は「木内監督に今日の采配は何点でしたかと聞いてみたいですね」と話した。アルプス席から観戦した木内氏は「強気でいい。俺はあんなに強攻できない。1点が欲しくなる。佐々木の思うようにやらせる」。6年連続した茨城県勢の初戦敗退を止めた愛弟子に、お墨付きを与えた。【斎藤直樹】