「絆」の再戦が実現した。第85回選抜高校野球大会(22日開幕、甲子園)に東北絆枠で出場する山形中央は10日、日大三(東京)と同校グラウンドで練習試合を行い、3-21の大差で敗れた。

 21世紀枠で出場した10年のセンバツで4-14で負けて以来、3年ぶりの対戦。2回に先制したものの、強打を誇る相手打線につかまった。18安打を浴び、3度の打者一巡を許した。さらに打球の速さについていけず7失策。一塁手松沢昇太主将(2年)は、守備中にかかわらず相手の打撃に見入ってしまったほどだったという。

 ただ、圧倒されることこそが庄司秀幸監督(36)の目的でもあった。3年前の敗戦翌日、庄司監督は日大三の宿舎を訪問。小倉全由監督(55)から約3時間教えを受け、今日まで練習や指導に生かしてきた。「甲子園の前に子供たちに『超高校級』を経験させられなかったことが3年前の悔い。今日の1球1球を、選手たちは絶対に生かしてくれると思う」。

 松沢主将は「打球の強さ、ピンチの時の粘り、声、たたずまい…。悔しいけど、得るものの方が大きかった」とすがすがしく語った。この日の1球1球の重みを糧とし、センバツまで実戦を重ねていく。【高場泉穂】