<高校野球埼玉大会:花咲徳栄5-0大宮西>◇20日◇4回戦◇県営大宮

 最強のパートナーと大記録を達成した。花咲徳栄の関口明大投手(3年)が、人生初のノーヒットノーランを達成した。埼玉県の歴代記録では公式戦で44人目、夏の大会では今大会で2人目となる21人目の達成者となった。アウトの内容は9三振、内野ゴロ5、内野飛球5、外野飛球8だった。

 180センチの長身からスライダー、カーブ、フォーク、シンカーを操り、124球で締めた。それでも1、6、7、9回に四死球を出したことに「まだまだです」と反省。「落ちる球、特にフォークが抜けたし、後半の制球が課題です」。相手が高めのボール気味の球に手を出してくれたことにも助けられた。

 何より、若月健矢捕手(3年)の「ひと言」が大きかった。「5回から記録を意識していました」という関口は、5点リードの7回、先頭打者に死球を出し、次打者に対しても高めに球が抜けた。するとマウンドに寄ってきた若月から、こう言われた。

 「(記録を)狙っているのか?

 どうせ打たれるんだからいいじゃん」

 関口は「あの一言が記録ではなく、目の前の打者1人を打ちとることに集中させてくれました」。8回は1死としてから連続三振。そして若月も「抜群でした」とほれ込んだ1球がグラブに吸い込まれた。9回、先頭打者へ投じた4球目の低めのシンカーだった。この日9個目の三振は打者のタイミングを外す会心の空振り三振だった。「まだまだ集中、気持ちの持続ができてないです。もっと先は長いんで、これからです」。打倒・浦和学院へ、弾みのつく快記録達成だった。【栗田尚樹】

 ◆関口明大(せきぐち・あきひろ)1995年(平7)9月2日、川崎市生まれ。小学1年から野球を始め、中学は青葉緑東シニアで三塁手。桐光学園・松井とチームメートで3年時に全国優勝を経験した。高校入学と同時に投手に転向。趣味は寝ること。好きなタレントは本田翼。自己最速は147キロ。持ち球は直球、カーブ、スライダー、シンカー、フォーク。遠投100メートル。180センチ、82キロ。右投げ左打ち。家族は両親と兄、姉。