<IBAF18UW杯:日本10-0韓国>◇5日◇予選2次ラウンド◇台湾・台中

 甲子園に出られなかった男には意地がある。今ドラフト1位候補の東海大甲府・渡辺諒内野手(3年)が4打数4安打2打点と10-0のコールド勝ちに貢献した。2回、低めのスライダーを右前へ流し打ちすると止まらない。3回にはまたしても変化球を真芯でとらえて、中越えの二塁打とした。5回、6回にも中前にはじき返し、4安打と爆発した。

 長い間試合に飢えていた。甲子園出場を逃し、7月下旬から学校で黙々と木製バットを振った。初めは金属との違いに戸惑った。背筋は200キロを超え、ベンチプレスは95キロを上げる怪力で芯を外しただけでバットが折れる。思い切り振ることが出来ず、フォームを崩しかけた。それでも合宿中に素振りを繰り返すことで、感覚を取り戻した。雨天中止が続いた1次ラウンドでは「(日本まで)3時間なら日本に帰ってドームとかで試合がしたい…」と話すほど、打撃がしたくてうずうずしていた。

 そのモヤモヤを吹き飛ばすように今大会はこれで22打数10安打、打率は4割5分5厘となった。好調にも「甲子園に出て活躍したメンバーを差し置いて、自分は選んでもらっている。負けたくない気持ちはもちろんあります」と気を引き締める。日本で暴れられなかった男が、世界の舞台で大暴れする。