第86回選抜高校野球大会(3月21日開幕、甲子園)の21世紀枠は3校が選出され、奄美大島初甲子園の大島(鹿児島)が選出された。

 新たな歴史の1歩だ。大島が鹿児島の離島勢では初の甲子園。決定の瞬間、奄美市の職員が近くの小学校からドーン、ドーンと祝砲を打ち上げた。昨年12月に日本復帰60周年を迎えた奄美群島に、またひとつうれしいニュース。島全体がお祭りムードとなった。

 渡辺恵尋監督(45)は「夢のような出来事。島でもやれるという自信を与えられたと思う」と胸を張った。鹿児島市からは約380キロ離れ、フェリーで約11時間もかかる。離島のハンディキャップを抱えながら、昨秋の県大会では昨夏代表の樟南を8-7と振り切り、ベスト4に入った。

 21世紀枠の推薦書には「グラウンド周辺には猛毒を持つハブも生息しており、危険と隣り合わせの中での日々の練習である」と書かれている。選手全員が島内の出身。島内に高校は4つだけで、紅白戦などで実戦感覚を養った。重原龍成主将(2年)は「応援してくれている島の人たちのためにも、甲子園で1勝したい」と3月を待ちわびた。

 ◆島からの選出

 外海離島からの甲子園は03年春に21世紀枠で出た隠岐(島根・隠岐島)、大嶺祐太投手(現ロッテ)を擁して06年春夏に出場した八重山商工(沖縄・石垣島)、11年春の佐渡(新潟・佐渡島)に次ぎ大島が4校目。本土から橋でつながった島では洲本(兵庫・淡路島)、久賀の校名で2度出場の周防大島(山口・周防大島)の2例がある。