<センバツ高校野球:甲子園練習>◇17日

 第86回選抜高校野球大会(21日開幕)に9年ぶりに出場する駒大苫小牧(北海道)が、イメージトレーニングの総仕上げを行った。佐々木孝介監督(27)は選手に「イメージしろ」と指示。30分間の持ち時間は守備練習を中心とし、聖地のグラウンドから見える「景色」を肌で感じさせた。04年夏の全国制覇時主将で、07年夏には臨時コーチとして甲子園を経験している指揮官は、雰囲気にのまれない重要性を選手に説いた。

 練習開始のサイレンと同時に、佐々木監督が歩きだした。ノックは小崎達也コーチ(25)に任せ、自身は約5分かけて三塁から逆回りに内野を1周。選手時代に守った遊撃の位置では、久しぶりの聖地を味わうかのように少しだけ立ち止まった。「銀傘のあたりは(04年と)変わっていて、ちょっと違ったけど、2カ月間イメージしていたものと変わらなかった」。懐かしむだけでなく、戦いの場の「景色」を確かめた。

 センバツ決定時から、甲子園で戦う姿を想像してきた。経験者として、選手に「甲子園とは」と教え続けてきた。試合前後の流れ、時間が分刻みで区切られていること。全て「雰囲気にのまれないように」するためだった。2月の種子島合宿では、団体行動で素早く動くことを意識させた。そんな積み重ねを確認する場が、この日の甲子園練習だった。

 打撃練習は行わず、30分の半分以上はノック。投手陣がマウンドから投球練習する際は「イメージして振れ」と野手陣に素振りさせた。360度観客が入る、独特の雰囲気で投げる難しさを想像してきた伊藤大海投手(2年)は「マウンドからの景色を確かめられた」。田丸郷祐遊撃手(3年)は「監督から『声が聞き取りにくくなるからジェスチャーを大きくやれ』と言われていたので、気をつけた」と、本番を見据え、大げさに声を掛け合い、守備をした。

 球場入りの際、佐々木監督はバスの中で「戻って来てやったぞー!」と絶叫したという。甲子園のグラウンドは駒大3年だった07年夏の臨時コーチ以来だが、その時とは立場が違う。心は冷静だった。「雰囲気にのまれないように、いつも通りにやりたい。1戦1戦、北国のチャレンジャーとしてぶつかっていくだけ」。V1主将だった青年監督は、勝利のイメージもばっちりできている。【保坂果那】