<高校野球南北海道大会:函館稜北6-0七飯>◇22日◇函館地区Aブロック2回戦◇函館オーシャン

 函館稜北の大立目(おおたてめ)祐投手(3年)が公式戦初完投初完封で、チームに3年ぶりの夏白星をもたらした。左足を大きく後ろに振り上げる独特の“振り子投法”で七飯打線を散発3安打に封じ、快勝した。

 勢いよく左足を後ろに振り上げ、反動で前へ突き出す。大立目の一連の動きに、ブレはない。テンポ良く時を刻む振り子のように、アウトの山を築いた。「真っすぐが良かった。みんなで絶対に夏は1勝しようと言っていたので、うれしいです」。昨秋の新チーム結成後、初勝利。公式戦初完投を完封で飾り、試合後も興奮が収まらなかった。

 カーブに加えて、習得中のスプリットも効果的だった。未完成のため3死球を与える場面もあったが、「うまく組み立てられた」と7三振を奪った。春の地区予選で、松前に0-5と敗れてから45日。112球でつかんだ、待望の白星だ。

 投手経験は、浅い。小学6年で野球を始め、高校1年の秋までは外野手。投手に転向後すぐの昨年4月に右肘側副靱帯(じんたい)を痛めて、長らくボールを握れなかった。「教室のドアを開けるのも大変」という中で「冗談抜きで野球をやめようかと考えた」。思いとどまることが出来たのは、チームメートの支えがあったからだ。

 先輩の見よう見まねで覚えた独特の投球フォームは、今やすっかり体になじみ「体重移動がスムーズになった」という。次戦は27日、春に函館地区を制し、全道大会に出場した函館大有斗が相手だ。「高校入学後、初めて一番強いと思っていたチームとやれる。どこまで通用するか楽しみ」。くしくも、念願の大一番は18歳の誕生日。自らの右腕で、最高のバースデーにするつもりだ。【中島宙恵】