<高校野球福岡大会:西日本短大付3-0九州産>◇12日◇2回戦◇大牟田延命

 涼しい顔で自分の投球を振り返った。西日本短大付のエース小野郁(ふみや=3年)は「自分で悪い展開をつくってしまった点があるし、まだまだですけど、球は低めに決まっていたし、その点は良かった」。毎回の14奪三振で、ノーヒットノーランまであと1歩の1安打完封劇。九州産打線をほぼ完璧に封じながら、反省点も忘れなかった。

 初戦の福岡戦は7回途中で初安打。この日は8回2死で二塁打を許したが、初戦(7回無失点)と合わせて16イニング連続で「無失点&毎回奪三振」を続けている。「初戦は直球とカットボールだけだったが、スライダーやフォークボール、チェンジアップも投げられたし、十分いけると手応えもあった」。夏の予選序盤は「調整」期間だと言わんばかりだ。

 ネット裏で熱視線を送っていたスカウトのスピードガンで自己最速タイの150キロも計測。ロッテの永野チーフスカウトは「間違いなく全国トップレベルの高校生。センスがある」と絶賛した。

 実は三振にこだわっていた。「新聞に14三振を取った投手がいたので、自分も、と思った」。すでに全国に目を向け甲子園で投げ合っている自分を想像している。今夏初戦の9奪三振と合わせ2戦16回で23奪三振。小野の進化は止まることはない。【浦田由紀夫】