<センバツ高校野球:中京大中京2-3明徳義塾>◇28日◇2回戦

 中京大中京(愛知)が明徳義塾(高知)にサヨナラ負け。初戦突破はならなかった。2-2で迎えた延長10回。エラーで走者を得点圏に進められると、2死二塁から2番手・細川貴紀投手(3年)がサヨナラ打を浴びた。攻撃陣も今大会初めてとなる先発全員安打を放ちながらもあと1本が出なかった。自慢の投手陣を中心とした守り勝つ野球で42年ぶりの優勝を目指した中京大中京が初戦で姿を消した。

 2-2で迎えた延長10回に悪夢が待っていた。2死から三ゴロを捕球した主将・矢沢の一塁への“まさか”の悪送球で2死二塁とされたのが始まりだった。そして…6回途中から登板した2番手・細川の投球を捕らえた次打者・石橋の打球は、右翼線で弾んだ。サヨナラ負け…。ガッツポーズの明徳義塾ナインとは対照的に、中京大中京ナインは肩を落とした。

 「ボールを捕って、ヨシと思ってしまった…」。痛恨の失策に、矢沢は言葉をしぼり出した。地方大会の1試合平均失策数0・47は出場36校中2番目。大藤敏行監督(45)が「ウチは守り勝チーム」と胸を張る堅守を誇る守備陣が最後の最後にほころびを見せた。“まさか”のプレーが痛恨の失点の引き金を引いた。一瞬の気の緩みが最悪の結果につながってしまった。

 自慢の投手陣にも“まさか”があった。6回2死満塁で登板した2番手・細川がいきなりストレートの四球を与えて押し出し同点とされた。地方大会では42回で与四死球12。制球力のいい右腕も全くストライクを取れなかった。「(甲子園の)雰囲気に飲まれてしまった。頭が真っ白になった。1球目を投げておかしいなと思ったら四球だった」と細川はうなだれた。

 最後まで歯車がかみ合わなかった。この日、中京大中京は10安打を放ち、今大会初となる先発全員安打を記録した。だが、打線はつながりを欠いて、奪った得点は3回の2点だけ。終盤のチャンスにもあと1本が出なかった。大藤監督は「いい当たりもあったが、正面をついてしまった。(守備では)エラーと四死球が得点につながってしまった」と唇をかんだ。

 甲子園でのホロ苦い経験は、今後への糧となる。矢沢主将は「精神面をもっと鍛えて甲子園に戻って来たいです」。細川は「大きな場面でいかに自分の投球が出来るかが課題。もう1度甲子園に帰ってきたい」と話した。前評判通りの戦いをできず、初戦で姿を消した中京大中京の夏を目指した戦いが始まる。【桝井聡】