<高校野球山形大会:東海大山形4-3鶴岡工>◇19日◇3回戦

 東海大山形のエース赤間謙(3年)が、投打で大暴れだ。0-3の5回途中から登板し、自己最速の144キロを計測するなど5回 1/3 を無失点。打っては延長10回のサヨナラ打を含む3安打で、鶴岡工を4-3で下した。

 おぜん立ては整った。3-3で迎えた延長10回裏2死一、二塁。赤間のバットが、真ん中低めの直球をたたく。拳を突き上げながら見送る打球が左中間フェンスを直撃する。サヨナラの走者が生還すると、ベンチからナインが飛び出し、歓喜で渦巻いた。エースの投打の活躍に、武田宅矢監督(30)も「今日は赤間に尽きる。本人もこれでまた勢いづく」と絶賛した。

 サヨナラの一打だけではない。赤間は7回1死からヒットで出塁し、反撃ののろしを上げるホームを踏んだ。9回には先頭打者で中安打。その後、三塁走者として内野ゴロの間にホームにかえった。3安打、2得点に勝負を決める殊勲打。ピッチングでも被安打5ながら要所を締め、5回 1/3 を無失点。6回には自己最速の144キロも記録し、三者三振に抑え試合の流れを1人で呼び込んだ。

 もっとも勝利を決めた瞬間、赤間のガッツポーズは控えめだった。「勝ったのはうれしいけど、自分たちは甲子園で勝つために練習してきた。本当にここで喜んでいいのか分からなかった」という理由からだ。頂点しか見えない。昨夏の準々決勝でコールド負けを喫した日大山形に20日、リベンジを挑む。