たこ焼きパワー全開だ。全国高校野球選手権(甲子園)で明日9日の第1試合(午前8時30分開始)で初戦(対福知山成美=京都)を迎える常葉学園菊川(静岡)は7日、大阪市の日本生命グラウンドで約2時間の練習を行った。打撃好調の4番中川雅也右翼手(3年)は、フリー打撃で柵越え4連発。昼食で平らげた、たこ焼き16個分のパワーを見せつけた。

 中川の打球が、軽々とフェンスを越えていった。マシン相手のフリー打撃で、4球連続の柵越え弾。冷静さを保つべく「来てる~!

 でも、調子に乗っちゃあかん」と自らを戒めつつも、思わず表情が緩んだ。静岡大会でチーム最多の2本塁打、3二塁打した主砲は、打撃絶好調のまま初戦を迎えることになりそうだ。

 たこ焼きパワーが効いた。練習前、昼食代わりに宿舎近くの店「あきない」で、たこ焼き16個を平らげていた。太りやすい体質で、大阪入り後に体重が1キロ増えた。大阪名物を口にするため、サウナに入って減量。3日ぶりに、好物にありついていた。プロの野手には、業界用語で無安打を意味する「タコ」を忌み嫌い、シーズン中は全く口にしない選手もいる。だが、中川はたこ焼きを食べた3日前の練習(松下電器グラウンド)でも130メートル弾を放っており、験のいい食べ物になっている。

 大阪入り後、宿舎で毎晩、約1時間の素振りをこなしている。「(テレビで)有名な選手が打つとむかつく。体がむらむらしてスイングをしないと治まらない」。智弁和歌山・坂口真規内野手(3年)ら、プロ注目のスラッガーに対抗心を燃やす。降雨ノーゲームで試合日程が1日順延となり、くしくも初戦が智弁和歌山と同日(9日)になった。反骨心をエネルギーに変換するだけに、日程変更も追い風だ。

 優勝した昨春のセンバツから、4度目の甲子園になる。大阪での過ごし方は慣れたもの。地元名物と相性がいい主砲が、試合でも大暴れする。【斎藤直樹】