<高校野球神奈川大会>◇20日◇3回戦

 神奈川の注目対決は、慶応が桐蔭学園に1-3で敗れた。慶応のプロ注目右腕・白村明弘投手(3年)は7安打を浴び3失点。慶応が挑んだ神奈川初となる4季連続出場はならなかった。

 最後まで笑顔でチームを引っ張ってきた白村が、球場を出るなり泣き崩れた。「みんなの顔を見たら気持ちがあふれてしまった。思いっきり投げたので悔いはないです。3年間、本当に楽しかった」。涙をぬぐおうともせず、ほほ笑みを見せた。

 133球の完投だった。

 今夏初となる登板で立ち上がりは力んでいた。初回に3四球を出し、2回には3安打を浴びて先制点を与えた。ピンチでは胸に手を当て、心を落ち着かせた。187センチの長身からキレのある直球を繰り出し、自己最速の148キロをマークした。「気持ちが入り過ぎてて最初は空回りしてしまった。3回からはテンポよくいけたが、7、8回は相手の気持ちが強かった」。

 連続甲子園の夢が絶たれたことで、今後はその進路が注目される。慶応から直接プロ入りとなれば、ドラフト制以降は初のこと。試合後、白村は進路について「今は半々」としながら、プロ志望届を提出する可能性を口にした。「プロで鍛えたいという気持ちもある。監督と親と相談して、自分でしっかり悩んで決めます」。帽子の裏に書いた「世代最強」という目標へ、もっともふさわしい舞台を選択するつもりだ。