<高校野球愛知大会>◇24日◇4回戦

 愛工大名電が6-2で半田を退けた。主砲のバットが愛工大名電の窮地を救った。1点ビハインドで迎えた6回。1死走者なしの場面で、4番中沢佑樹左翼手(3年)が甘く入った直球を左翼席に突き刺した。「自分が何とかしようと思っていた。手応えはバッチリでした」。高校通算34号となる同点ソロに、中沢はえくぼを見せてはにかんだ。

 名門・愛工大名電らしからぬ試合運びだった。初回に1点を先制したが、3回に先発久野が3安打を浴びて2失点。8回に4点を挙げて勝ち越したが、野球では無名の公立校に中盤までリードを許すまさかの展開。それだけに倉野光生監督(50)も「あの場面で打つのは難しい。よく打ったね」と沈滞ムードを振り払った主砲をねぎらった。

 イメージがあった。同じ右投げ左打ちの外野手で同校の大先輩イチロー(マリナーズ)だ。3月のWBC決勝は野球部合宿所(同県春日井市)の食堂でテレビ観戦。決勝の韓国戦で放った先輩の決勝打は、今でも頭に残っている。この日はイチロー級の勝負強さを発揮して、4打数3安打。今大会はここまで2試合で打率5割だ。「先輩のような活躍がしたい。愛知大会では8割は打ちたい」。中沢が自信に満ちた顔で言い切った。【桝井聡】