<高校野球静岡大会>◇30日◇準決勝

 浜名が2-0で島田商を下した。徳原正伸左翼手(3年)の値千金の一打で得た2点をエース平尾拓摩(3年)を中心に守り抜き、3年ぶり4度目の決勝進出。

 0-0で迎えた6回表1死二塁。2番徳原が、高めに浮いた直球を会心の一振りで中前にはじき返した。島田商中堅手が後逸するすきに、チーム一の俊足を生かして、一気に本塁を駆け抜けた。準々決勝後に、相手西本投手のニュースハイライトを録画。わずか数秒の映像を頭に焼き付け、素振りを繰り返してきた。「イメージ通りの打撃ができた。すごいうれしいです」。殊勲打を放った徳原は満面の笑みを浮かべた。

 守備からリズムを作った。5回裏2死二塁。エース平尾は、右前に単打を許したが、高田祥吾右翼手(3年)が本塁に好返球。「無心で投げました。あれで流れが変わったと思う」と高田。遠投95メートルの強肩を生かした「レーザービーム」でピンチをしのいだ。好プレーで奮起した打線は、直後の6回表に2得点。リードをもらった平尾も、直球と変化球を使い分け、打たせて取る投球で完封した。平尾は「味方を信じて投げました。相手投手も左だったので絶対負けたくなかった」と目を見開いた。

 ノーシードながら強敵を撃破し、3年ぶりに決勝に進んだ。06年大会は静岡商に0-2。今大会44回を投げて58奪三振のエース平尾は「全力で投げて絶対に甲子園に行きたいです」と語気を強めた。03年にセンバツで1度出場するも、夏の甲子園出場はまだない。悲願の夏初Vへあと1勝。創部60年の節目の年に、浜名ナインが新たな歴史を刻む。【神谷亮磨】