<高校野球大阪大会>◇7月31日◇準決勝

 PL学園は6-4で履正社との延長戦を制した。大阪屈指の右腕、履正社橋本を3発で攻略した。4番の村田穏行(3年)の3ランで先制し、4回は1番・吉川大幾(2年)のソロで中押し。決勝は6番・中井郁雄(3年)の2ラン。今大会チーム通算10本塁打で桑田真澄、清原和博らKKコンビ3年時以来の秋、春、夏の「大阪3連覇」に王手をかけた。

 5回以降は劣勢だったが延長12回、中井がよみがえらせた。フォークをとらえ左中間席に運んだ高校通算3号は、努力を実らせた1発だ。2試合で6打数1安打に終わったセンバツ後、黙々と右狙いの打撃を練習した。「だから内側から入ってきた変化球に素直にバットが出た。あいつの練習の成果です」。深瀬猛コーチ(39)は声を弾ませた。

 1発長打の恐怖の6番で守りも名手。一塁守備でたいがいの悪送球も無難にさばく。河野有道監督(60)は「どれだけ中井に助けられているか」と言うが、本人は悔しい思いを抱き続ける。日置荘中まで遊撃手だったが、PL学園合格に安心して練習を怠け、正確な送球が出来なくなった。今も「ショートをやれなかったことは今でも悔しい」と言う。だが兄への思いが支え。兄健史さん(20)は高校1年の練習中に左腕を骨折し、野球をやめた。「元気なおれが何をしてるんや」と自分を咤(しった)して最後の夏を迎えた。

 「やんちゃやけど努力家なんです」と、主砲の村田は中井を信頼する。中井も「故障でセンバツは出られなかった村田と夏の甲子園に行きたい」と応じた。現チームは府内無敗の22連勝。PL花火が夜空を彩る1日、最後に残った切符をつかむ。【堀まどか】