<高校野球神奈川大会>◇21日◇4回戦

 強豪横浜の背番号「1」を背負う2年生エース斎藤健汰投手が、向上を3-0で2安打完封した。3回戦まではすべて1年生、山内達也投手との継投だった。4試合目にして初めて1人で投げ抜いた右腕は「ここで負けたら3年生の夏が終わってしまうので」と話し、16強入りに満足げな表情を浮かべた。

 序盤に思わぬアクシデントに見舞われた。2回の打席で相手投手の投球が左手首をかすった。バットにも当たり、球審はファウルと判定したが、斎藤は「力が入らない」状態になってしまった。試合を止め、ベンチ裏で痛み止めを服用して再登場した。利き腕ではないものの、投球モーションに入るたび痛みが走った。最速142キロの直球は136キロどまりだった。

 それでも、本来の調子でないことが、逆に冷静な投球を呼んだ。プロ注目右腕の向上・中野が相手だったことも丁寧な投球につながった。以降許した走者は8回に安打された1人だけ。渡辺元智監督(65)も「データ通りに守った。ケガの功名ですかな。ナイスゲーム」とたたえた。

 西武涌井にあこがれて横浜に入学した。だが、甲子園は3季連続で逃し、今年は夏5年ぶりのノーシードだ。5回戦は第1シードの横浜商大高が待ち受ける。「みんなで1つになって、また甲子園に行けるチームにしたい」。2年生エースがこう言いきった。