8月といえば日本では夏の甲子園の季節だが、米国ではリトルリーグ・ワールドシリーズの季節だ。米国内と国際のブロックに分かれて予選から勝ち上がり、今年は8月30日にリトルリーグの聖地ペンシルベニア州ウィリアムズポートで、米国優勝チームと国際優勝チームの世界一決定戦が行われる。この時期は、メジャー各球団のクラブハウス内のテレビでも、リトルリーグの試合が流れていて、選手や監督、コーチも熱心に観ている。

 今年、高校野球で話題の早実・清宮幸太郎内野手(1年)も東京北砂リトルでプレーしていた12年にこの大会に参加し、テネシー州のチームを下して世界一に輝いた。ウィリアムズポートがニューヨークから車で約3時間と近いため、優勝チームは世界一決定戦の翌日にヤンキースかメッツの本拠地に招待されるのが恒例のようになっており、その年も東京北砂ナインがヤンキースタジアムを訪れ、ヤンキースのメンバーと交流した。最近、テレビのニュース等で再び映像が紹介されていたが、イチローが当時すでに身長183センチあった13歳の清宮選手に「デカっ」と思わず言った、あのときのことだ。

 当日、私もちょうど取材していたのだが、イチローや日本でも有名なデレク・ジーターを間近で見た少年たちのはしゃぎぶりはほほ笑ましかった。ヤンキース選手たちの歓迎ぶりも手厚く、ジーターは自ら子供たちのところに歩み寄り、握手や記念撮影のサービスをして歓待。ジラルディ監督は試合をよくテレビ観戦しており、三塁カバーに入った左翼手の少年に「よく気付いたね。素晴らしかった」と、細かいプレーにまで言及し、褒めていた。リトルリーグの野球少年が国際舞台を経験するのも貴重だが、メジャーのスター選手や監督とこんな交流ができたことも、その後の彼らの人生にとって意味のある経験になったと思う。

【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)