レンジャーズのダルビッシュ有投手がオフシーズンの合同トレーニングを公開し話題になっている。最近はツイッターやインスタグラムなどのSNSが普及しているため、ダルビッシュだけでなく複数の選手がトレーニング中の写真や動画を公開しており、これまでベールに包まれてきたメジャーリーガーのトレーニングを垣間見ることができるようなった。中には、ユニークなトレーニングが注目を集める選手もいる。

 例えばイチローの同僚でマーリンズの主砲ジアンカルロ・スタントンは、このオフのトレーニング動画をインスタグラムでユニークなトレーニングを披露した。トラックか重機に使用されるような大きなタイヤを床に置き、それを両手に持った鉄製のハンマーで何度もたたくというものなのだが、身長198センチ、体重109キロの筋骨隆々な体に、本塁打の飛距離がメジャー一というパワーを持つだけに、その様子があまりに迫力があると話題になった。

 メジャーの先発投手で最も平均球速が速く最速で102マイル(約164キロ)以上の剛速球を投げるメッツの右腕ノア・シンダーガードは今オフ、背筋と太もも裏の筋肉強化を目指し、ジムでデッドリフト、ベンチプレス、スクワットなどを行っている。興味深いのは、ボディービルダーも練習に取り入れているCAT(Compensatory Acceleration Training)というテクニックを使っていることだ。これはウエートトレーニングの方法論の1つで、体や筋肉に負担をかけすぎて痛めないよう軽めの重量を使うが、それでも力をマックスに出すためにリフティングなどをするときのスピードを極限まで速めるというもの。自分にかける負荷を重量ではなくスピードで補うというわけだ。シンダーガードは専属のトレーナーの指導を受けながら、このトレーニングを週4日行うプログラムを組んでいるという。

 もう1人ユニークなトレーニングを行っているのは、タイガースのマイケル・フルマー投手だ。何とフルマーは、オフシーズンに自宅のあるオクラホ州で配管工の仕事をしている。昨オフに友人に頼まれて始め、メジャーリーガーとなった今季も続けているのは、配管用の溝を掘るなどの肉体労働が、トレーニングにうってつけだからだという。オフに入るとまず配管作業で体を動かしておき、その後に本格的な自主トレを始め、キャンプインに備える。この珍しいトレーニング法が功を奏し、今季メジャーデビューを果たして11勝7敗と活躍し、新人王に輝いている。

【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)