<ブルージェイズ4-5エンゼルス>◇23日(日本時間24日)◇ロジャースセンター

 エンゼルス大谷翔平投手(23)が、値千金の同点打でチームを救った。「5番DH」で出場したブルージェイズ戦。2点を追う9回1死満塁で、バットを折りながらも中前に運ぶ2点適時打を放った。

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 大谷は何度も強く拳を握り、ガッツポーズを見せた。「やったぞ!」と言わんばかりにベンチへ指もさした。2月のアリゾナ州テンピでのキャンプから密着して見てきたが、投手ではピンチを脱した時に力強いガッツポーズをよくするという印象はあった。打者として、ここまで強く感情表現した姿は初めて見た。本拠地アナハイムでメジャー1号を放ち、ベンチで無邪気に喜んでいた姿は記憶に新しい。だが、勝利に直結する“決定打”は、意外にもなかった。4月12日(日本時間13日)のロイヤルズ戦、走者を一掃するメジャー初三塁打を放った時は右手を広げてポーズをとったが、やや控えめでクールに決めた。マリナーズのイチロー会長付特別補佐は打っても常にクールだった。大谷はそういう姿も尊敬しているのかな? 個人的にはそう感じていたが、この日のガッツポーズは本当に力が入っていた。

 驚いたのはそれだけではない。試合終了の約40分後。囲み取材に応じた大谷は別人のようだった。興奮さめやらぬ状況かと想像していたが、いたって冷静だった。うれしくないのかな? そう思ったほどだ。途中、横を通ったマルドナドから「ホルヘー(大谷の呼び名)!」と大声で叫ばれて少し笑ったが、すぐに真面目な受け答えに戻った。オンとオフとを即座に切り替える。あらためて大谷のすごみを感じた瞬間だった。【MLB担当 斎藤庸裕】